あのアニメのネットスラングの元ネタってなんなの?「滑り台」編

最近、特に女のキャラが、恋愛モノやラブコメモノのアニメ作品で、失恋した場合、そのキャラクターを「滑り台」または「滑り台行き」と形容する人が増えてきたが、この言葉の語源は2011年に放送されたアニメ『ましろ色シンフォニー』が語源となっている。

同作の11話では正ヒロインと主人公がクリスマス・イブでイチャついているシーンがあるのだが。なにを思ったのかアニメスタッフは、このシーンと同時進行的に正ヒロインに選ばれなかったヒロイン候補のキャラたちが、女子会をしている映像を流してしまう。さらにどうしようもない気分を発散する為に、公園の“滑り台”に行き、グチるというシーンがあるのだが、このシーンがあまりにも強烈だったため、その後、恋に破れたキャラクターを指す言葉になってしまった。

『ましろ色シンフォニー』は原作が恋愛アドベンチャーゲームのため、複数のヒロインのルートをプレイヤーが楽しむ形式になっている。そのため、通常のアニメ化ならば、各ヒロインのファンに申し訳をたてるため、3~4話を使い各キャラのメインルートをやってマルチEND形式か、終点を原作の話の中心となるメインヒロイン的位置づけのキャラルートにしつつも、他のヒロインを盛り上げているエピソードをなぞる方法をとるのが定石なのだ。

しかし同作では、どういう方針でそうなったのか、原作で一番人気だった天羽みうというキャラをメインとして、中盤以降全く他のキャラにスポットが当たらない状況となっていた。原作の最初のゲーム化となったPC版のパッケージでは、真ん中に配置され、明らかに話の中心になりそうだった瀬名愛理というキャラにいたっては、序盤のアクシデントで、主人公と一緒に風呂に入るシーンもあるにも関わらず、その後はあんまりな扱いだったため、一時期「先に主人公と風呂に入ったヒロインは負ける」という言葉が語られることもあった。

放送以降のこの言葉の定着度はかなり高く、ネットでアニメ視聴者が負けヒロインを指す言葉として記入するだけではなく、2015年に放送された『冴えない彼女の育てかた』や2016年に放送された『少女たちは荒野を目指す』で、作中のキャラが負けヒロインという意味で「滑り台」という言葉を発する場面もある。また、アキバ総研では、2018年に「滑り台系ヒロイン人気投票」を開催したことも。

なお、特に青髪のヒロインに対して、この言葉を書き込む人が多いのだが、なぜ青髪ヒロインがそう、呼ばれやすいのかについては次回解説する。(斎藤雅道)

*画像 「ましろ色」公式twitter TVアニメ『ましろ色シンフォニー』全話いっき見ブルーレイ

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