英語アプリで五島観光案内 AIが返答 実証実験開始

チャットボットアプリ「Hanna」の画面。AIが旅行客に観光地や飲食店の情報を提供する(TEIT提供)

 人工知能(AI)のコンサルティング事業を手掛ける東京のベンチャー企業TEIT(ティート)は、利用者の問い掛けに英語で返答する自動会話アプリを開発し、25日から長崎県五島市で外国人客向けの観光案内に活用する。市内の観光地や飲食店について尋ねると、蓄積したデータの中から適した情報を提供する仕組み。約1年間の実証実験に取り組み、中国語や韓国語への対応も目指す。
 市観光物産課によると、昨年の観光客数は24万人を超え過去最多だった一方、外国人客は1668人で全体の1%にも満たず、接遇向上や誘客が課題。観光施設などには外国語の説明板が一定整備されているものの、目的地を探したり、移動したりする際の情報が不足しているという。
 人間の問い掛けにAIが自動返答するサービスは「チャットボット」と呼ばれ、同社はこれまでにチャットボットアプリ「Hanna」(ハナ)を開発。客がスマートフォンなどにアプリをインストールし、英語で「近くに観光地はあるか」「食事をしたい」などと入力すると、位置情報などを基に、お勧めの場所や目的地までの距離などを教える。
 市が同社に観光情報などを提供し、現在は観光地、飲食、宿泊分野に対応。今後は釣りや史跡巡りなど観光プランの紹介や、多言語化、音声対応も目指す。
 ハナの実証実験は全国初。同社最高経営責任者(CEO)の濁沼(にごりぬま)広樹代表取締役(30)が五島市の外国人対応の遅れを知り、サービス向上の一助になればと実施を決めた。濁沼取締役は「アプリを活用して五島市の外国人客誘致を発展させ、このサービスを全国にアピールしたい」と話している。

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