救急車 ETC利用 専用カードで迅速に通過可能に 長崎県、西日本高速道路と協定

昨年3月に開通した木場スマートインターチェンジ。多くの救急車が患者搬送に活用する=大村市(県提供)

 一刻も早く患者を病院に搬送しようと、救急車が高速道路の料金所をスムーズに通過できる協定を、県と西日本高速道路(NEXCO西日本)が結んだ。同社の同様の協定は佐賀県に次ぎ2例目。救急車が自動料金収受システム(ETC)を無料で素早く通過できるようになり、搬送時間の短縮につながると期待されている。
 昨年3月、長崎自動車道の諫早インターチェンジ(IC)と大村ICの間に、無人の木場スマートICが完成した。木場ICは高度な救急医療ができる国立病院機構長崎医療センター(大村市)に近い。木場ICの完成から今年1月末まで、県内の救急車は約千回、高速道路を通行しているが、このうち約半数が木場ICを利用した。
 救急車は高速道路を無料で走行するため、基本的にETCレーンは通過しない。無人の木場ICでは、インターホンで他の料金所に依頼し、遠隔操作でETCのゲートを開けてもらっている。県消防保安室によると、通常より10~20秒の遅れが生じているという。
 協定は2月に締結。NEXCO西日本が各消防本部の申請を受けた場合、緊急用ETCカードを発行することを取り決めた。同カードを救急車の車載器に挿入すれば、無料で迅速にETCレーンを通過できる。有人のICでも混んでいる料金所を避け、ETCレーンを利用できる利点がある。
 患者搬送で木場ICを多く使う県央地域広域市町村圏組合消防本部(諫早市)は本年度、約40万円をかけて全10台の救急車に車載器を設置する。同本部は「一分一秒を争う重篤患者の命を救うことにつながれば」と期待する。
 県消防保安室は「本土の各消防本部はETC車載器を設置し、救急患者をより早く病院に送り届けられるように環境を整えてほしい」と呼び掛けている。

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