強制不妊救済法が成立 被害者掘り起こし進める 長崎県や関係機関 相談窓口、実態調査

 旧優生保護法(1948~96年)下での障害者らに対する不妊手術問題で、被害者に一時金320万円を支給する救済法が24日、成立した。県や県内の関係機関は相談窓口を開設するなどし、救済に向け被害者の掘り起こしを進めている。
 県によると、県が保有している59~69年の「手術申請書」など関連資料や記録を調査した結果、県内で個人を特定できる不妊手術の申請件数は100件に上った。このうち、51件は実際に手術を実施した記録も残っている。
 県が昨年設置した相談窓口には、今年3月までに3件の問い合わせがあった。手術を受けたと訴える女性の成年後見人からは、手術記録の開示請求がされたが、県が保有する記録の中には残っていなかったという。県は「保有している記録の期間が限定的なため、この期間外に手術を受けた人がいる可能性もある」としている。他の2件は一時金申請の手続きなどについての問い合わせだった。
 県聴覚障害者情報センター(長崎市)は昨年、県内で不妊手術を強制された被害者がいないか実態調査を実施。県内在住で生まれつき聴覚障害がある女性(80)が、中絶手術や不妊手術を強要された可能性があることが判明した。
 センターは今後、女性に対し、救済法の趣旨や一時金支給申請の手続きなどについて説明したいとしている。本村順子所長は「一時金は被害者の苦しみに見合った金額ではない。時代が変わっても国は国。過ちを認め、被害者に謝罪すべきだ」と話した。
 センターは昨年、高齢で子どもがいない夫婦を中心に聞き取り調査をしたが、会員以外の人や遠隔地に住む障害者らの実態はつかめておらず、今後もできる限り調査を続ける方針。
 知的障害者の家族らでつくる県手をつなぐ育成会(同)も相談窓口を開設しているが、現在まで相談はないという。

◎県内の相談窓口

 県の相談窓口(こども家庭課、電095.895.2445)は午前9時~午後5時45分、育成会の相談窓口(電095.846.8730)は午前9時~午後5時。いずれも月曜~金曜(土日祝を除く)。

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