小日向文世、「緊急取調室」第3シーズンはセリフ増で悪戦苦闘!?
4月11日にスタートし、第3シーズンも変わらずファンの心をつかんで離さない“キントリ”こと「緊急取調室」(テレビ朝日系)。第1シーズンから出演し、頭脳派の小石川春夫を演じている小日向文世さんにインタビュー!
──3シーズン目を迎えられての率直な心境をお聞かせください。
「シーズン3というのは、ドラマや映像をやってきて初めての経験なんですよ。シリーズ化したものというと『HERO』(フジテレビ系)ぐらいですかね。あれもパート1、2という形で、3まで行ったのはこれ(キントリ)が初めてなので、そういう意味では5年の間に3シーズンを迎えることができて、役者として非常にうれしいですね」
──2年ぶりの撮影はいかがでしょう?
「もう全然、半年ぐらい前にやったような感覚で(笑)。年に1回、天海祐希さんの誕生日だったり、各自の舞台を見に行ったりしていて。全員が集まることはないですけれども、近々だと去年大杉(漣)さんが亡くなって、偲ぶ会をしたりとか。みんなで集まったりしているので“久しぶりに会った”という感じはないですね」
──今回から参戦する塚地武雅さんもおっしゃっていましたが、本当に雰囲気のいい現場なんですね。
「そうですね。(会見で)塚地さんもおっしゃっていましたけれども、カッコつける必要がなくなったというか。みんな年を取っていくといろんなものが剥がれていって。今はそのへんが楽になったんだと思います。そういった空気感を塚地さんは現場に来て肌で感じたんじゃないでしょうか? みんな丸くなりましたからね~(笑)」
──塚地さんが入ってさらにパワーアップしたと思うのですが、5年やってきてキントリのチーム感で変わったところがあったりしますか?
「年を取った分だけ男たちが丸くなったり、緩くなっている感じが心地よくなりました。なのでなおさら、天海さんのリーダー感というか、がっつり親分のようになっていて、われわれは手下みたいになっているというか(笑)。でもそれがものすごくいい感じで、チームとして進んでいるんです。どんどんオジサンたちがオバサン化して、天海さんが男らしくなっています」
──さて、いつもは取り調べをする側の小日向さんですが、もしキントリメンバーに取り調べをされるとしたら誰が嫌ですか? やはり天海さんでしょうか?(笑)。
「男たちはね、どこか同性だから腹を割って話せる感じがあるというか。天海さんは女性なんだけど“曲がったことを許さない”ところや、結構シビアな目を持っていますから。やっぱり天海さんは怖いですよ(笑)。怖いっていうのはなんだろう、年齢関係なく、天海さんの持っているカリスマ性や、彼女が背負っている他にはないエネルギーみたいなものを感じますよね」
──では実際にそうなったら黙秘もできない感じですかね?
「結構全身でぶつかってくる感じがしますので、実際に天海さんとそうなったら“肉を切らせて骨を断つ”感じでくるんじゃないかなって。そういう怖さはありますよね(笑)」
──小日向さんが頭脳派な小石川を演じる上で意識されていることは?
「飄々(ひょうひょう)と取り調べとかに入っていくんですけれども、その裏側にある豊富な知識とか、頭脳明晰(めいせき)な感じ、セリフを流れるように言うことなどは意識しますけど、やっぱり苦手なんですよね~(笑)。何気なく演じていかないといけないので、そこはとっても気を使いますね」
──第1話の「それだけですか?」「勝手な筋書きを書いているのは参事官です」などのセリフは、それまでのコミカルなシーンからのギャップを強く感じました。
「どちらかというと武闘派ではなく理論で追い詰めていく方なので、そのへんはものすごい冷静ですし、客観性に優れているんじゃないかなと思いますね」
──一視聴者としては本当にゾクッとしました。たぶん自分があの場にいたらなんでも自白していると思います(笑)。
「うれしいな、そういうふうに見えていたら(笑)」
──昨年10月クールの「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」(同系)では、天馬壮一郎を演じていらした小日向さんですが、どのように2人のキャラクターを演じ分けていますか?
「『リーガルV』は、ちょっと危ない人でしたからね。頭からワインかける人ですよ? 僕は面白かったですけど、“おかしいよ、このおっさん”って(笑)。衣装合わせの時に監督が『ひげがあった方がいいな』って言うんでちょびひげを付けることにしたんですがそれがまた胡散臭くて(笑)。あのへんの胡散臭さとひげで、随分外側から役作りをしていただいたなと思いますね」
──ここで、タイトルにちなんで「緊急!」なお話があれば教えてください!
「ドラマの撮影が始まったタイミングで他局のスペシャルドラマが重なってきたもんですから、セリフを入れる時間と睡眠時間のどちらを優先するか、という感じできつい期間がありましたね。11日間も撮影が続いたのですが、僕ももう65ですから。自分では大丈夫と思っていても体は悲鳴を上げているんじゃないかと、久々に乗り越えなきゃという感じがしましたね」
──鈴木浩介さんからは、小日向さんはセリフを覚えているそぶりを見せないとのお話を伺っていたのですが、裏にはそんな努力があったんですね。
「本当ですか?(笑)。いや、もう大変ですよ。キントリはもうセリフが大変なので、特に僕はシーズン3に入ってセリフが増えたんですよね。だから結構追われています(笑)」
──「ぜひとも呼んでみたい!」「落としてみたい!」と思うゲストはいますか?
「菅田(将暉)くんいいなって。1回だけ映画で共演させてもらったのですが、やっぱり独特の感性を持っているなと思ったので。彼を落としてみるのは面白そうだな~(笑)」
──取り調べで答えてしまうような“懺悔(ざんげ)したいエピソード”があればお聞かせください。
「僕、昔、中村雅俊さんの付き人をやっていた時期があったんですよ。劇団に入る前なので22歳の時ですね。中村さんがコンサートのリハーサルをスタジオでやっている時に、奥さんの五十嵐淳子さんがたまたま見にきていて。中村さんが(五十嵐さんから)万年筆を借りたんですけど、片付けの時に譜面台にその万年筆が残っていたんですよ。僕もう五十嵐さんの大ファンで、ちょっと借りますって持ち帰りました(笑)。でもね、随分経ってから僕、中村さんに返しましたよ。ずっと持ってたの、何十年も。こっそり持っていたことをはっきり覚えています(笑)」
──では、最後に見どころをお願いします。
「やっぱり塚地くんが入ってきたことで空気感が変わっているんですよ。パート1、2を見てくださった方たちは、また新しいキントリチームを見られると思います。天海さんを中心とするチームの結束力も増していますので、そういったところも見どころになるのではないでしょうか。あとは天海さんのスタイルの良さですね(笑)。ぜひ、注目してみてください!」
【プロフィール】
小日向文世(こひなた ふみよ)
1954年1月23日生まれ。北海道三笠市出身。77年「オンシアター自由劇場」に入団し、96年の解散後は映像にも活躍の幅を広げる。ドラマ「HERO」(フジテレビ系)のメインキャストの1人として起用された後、さまざまなドラマ・映画に出演。最近では「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」(テレビ朝日系)、「メゾン・ド・ポリス」(TBS系)、2019年は今後「コンフィデンスマンJP」「アルキメデスの大戦」「カツベン!」と3本の映画が公開予定。
【番組情報】
「緊急取調室」
木曜 午後9:00~9・54
仮想通貨取引を意のままに操り、“5億稼ぐ女”と呼ばれるカリスマトレーダー・宝城理沙(筧美和子)が、自宅マンションで殺された。死因は頭部をアタッシュケースで強打されたことによる脳挫傷。事件現場の状況から、金が絡んだ顔見知りによる犯行だとにらんだ捜査一課の刑事・監物大二郎(鈴木浩介)と渡辺鉄次(速水もこみち)は、さっそく同じマンションに住む第一発見者・平井かすみ(仙道敦子)を逮捕する。かすみは理沙に仮想通貨専用の口座を開設させ、裏で自分が売買取引を実行。“5億稼ぐ女”の正体は理沙ではなく、かすみだったのだ。しかも、かすみには犯行時刻のアリバイがない上に、理沙の部屋から指紋も多数検出されていた…。(4月25日放送・第3話)
テレビ朝日担当 I・O