橋本良亮、堤真一に恥ずかしいエピソードを暴露され赤面。「ご心配かけました!(笑)」

舞台「良い子はみんなご褒美がもらえる」が4月20日から東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕。前日に初日前会見と公開舞台稽古が行われ、堤真一、橋本良亮(A.B.C-Z)、小手伸也、シム・ウンギョン、斉藤由貴、外山誠二、演出のウィル・タケットが登壇した。

同作は、英国劇作家の巨匠、トム・ストッパードによる“自由”と“真実”をテーマにした異色作。ある独裁国家の精神病院を舞台に、同室となった同姓同名(アレクサンドル・イワノフ)の2人の男が“自由”に生きようとするさまを描く。政治犯とみなされ、誹謗罪でつかまった男(以後、アレクサンドル)を堤、オーケストラを連れているという妄想にとらわれている男(以後、イワノフ)を橋本が演じる。副題に“俳優とオーケストラのための戯曲”とある同作。舞台後方に35人のオーケストラが配置され、BGMとしてだけでなく、登場人物の心情を表したり、出演者になったりと芝居とコラボレーションする役割も担うという斬新な構成となっている。

会見では、「音楽、ダンス…さまざまなジャンルのパフォーマンスが組み合わさった野心的な舞台だ」と語ったウィル。自分だけオーケストラが見えている役の橋本は「お客さんにも見えているということで…難しい役をやらせてもらっていて、それをどう芝居に生かせるか毎日考えていました。最初、オーケストラとの稽古が3日間って聞いていたのに、2日しかなかった…っていう焦りはありましたけども、すごい楽しみ」と頼もしさを見せると、堤は「(オーケストラを)もうちょっと無視してできるようになりたい」と意気込んだ。

また、同作より一足先に映画「決算!忠臣蔵」(19年冬公開予定)で共演した2人。撮影の最終日に一緒に飲んだことを明かした堤が「(舞台は)難しいけど、大丈夫か、頑張れよって言ったら、(橋本が)泣き出して…」と話し出すと、橋本は焦って「ちょっと、やめてよ!」と両手で顔を覆って苦笑い。「同じホテルに泊まってたんだけど、朝まで飲んで、俺がコンビニに寄って帰って、エレベーター降りたら、コイツが歩いているんですよ。で、『じゃあな』って言ったら、そのまま一緒に俺の部屋に入って来て、『頑張りますから! 頑張りますから!』って(笑)。まだ飲むのかな、まだ居座るのかなと思ったら、急に『帰ります!』って。コイツ大丈夫かと思って(笑)」と暴露。共演者たちも笑って見守る中、恥ずかしそうに聞いていた橋本は「ご心配かけました!(笑)。その心配をどれだけこの舞台で巻き返せるか…」と奮闘を誓った。

幕が上がると、真っ暗なステージの中央にピンスポットを浴びた橋本演じるイワノフが険しい顔で、一人腰かけている。トライアングルを手におもむろに動き出した彼が「用意はいいか!」と叫び、指揮を始めると静かに音を奏でるオーケストラ。橋本のしなやかな動きが優雅に物語へといざなうが、堤演じるアレクサンドルが乱暴に連れてこられると、ここは精神病院内の監房だという現実に気付かされる。アレクサンドルに自分が率いているオーケストラのことをまくしたてるイワノフ。橋本はおそらくシナリオ何ページにもわたるであろう長ゼリフを緩急の効いた大げさな動きとともに意気揚々と言って見せた。その姿は天才指揮者にも見えるが、やはり異様であり滑稽で、見る者を引きつける。

橋本は、舞台「コインロッカー・ベイビーズ」(16、18年)で精神を病んだハシ役を好演したように、こういった精神的にどこかゆがんだ一筋縄ではいかない役がうまい。彼が醸し出す爽やかさが役に乗っかると、ざらついたものに変化し、生き生きと狂い出すのだ。随所で「ねぇ、聞こえる?」とアレクサンドルに問いかける姿には胸がザワザワとする。そんな橋本を“動”とすると、堤は“静”。正常なのに精神病院にいれられたという理不尽さにうなだれ、弱り、うつろさをまとう。自分の正当性を主張する時だけに見せる迫力と重厚さは圧巻だ。それぞれが自分の“自由”を信じ、かみ合わないように思われる2人の会話は、不思議な違和感をはらみながら、予想外の結末へと流れて行くのだった。

同作は5月7日まで東京・TBS赤坂ACTシアター、5月11~12日に大阪・フェスティバルホールで上演される。

取材・文/四戸咲子

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