レッドブル・ホンダF1密着:初日はホンダPU勢が4台そろってトップ10入り、ペナルティのガスリーは後方からの追い上げに期待

 スペック2エンジンとともにスタートしたレッドブル・ホンダのアゼルバイジャンGPは、初日から波乱のスタートとなった。

 まずフリー走行1回目、開始早々にコース上のマンホールの蓋が外れてジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)のマシンに直撃するアクシデントが発生して、赤旗中断。FIAはコース上のすべてのマンホールを確認するために、セッションは再開されることなく、わずか13分で終了した。そのため、レッドブル・ホンダの2台はインスタレーションラップの1周しか、走行できなかった。

 フリー走行2回目も他車がクラッシュして2度、赤旗が出た。ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「今日は赤旗が3回も出て、走行距離が限られたために、基本的なところは確認できたという段階です。したがって、パワーユニット(PU/エンジン)側のセッティングの煮詰めは土曜日に再度、行います」と、土曜日に向けて、慎重な姿勢を見せつつも、「ただ、大きな問題なく、PU側としては順調な一日でした」と手応えを感じている様子だった。

 それもそのはず、フリー走行2回目ではマックス・フェルスタッペンが4番手、チームメイトのピエール・ガスリーはアタックラップをうまくまとめられなかったとはいえ、9番手と2台そろってトップ10につけた。

 それだけではない。同じくスペック2を搭載したトロロッソ・ホンダの2台もダニール・クビアトが6番手、アレクサンダー・アルボンも8番手に入り、ホンダPU勢が4台そろってトップ10に入った。これはホンダ復帰後、初めてのことだ。

 トロロッソ・ホンダの昨年のアゼルバイジャンGPは、初日が15番手と18番手で、レースではデプロイの設定がうまく行えずにストレートで失速してしまったが、今年はその反省を生かして、パワーサーキットのバクー・シティ・サーキットでライバルにひけをとらない走りを披露していた。

■FIAの車重検査を無視したピエール・ガスリーに厳罰

2019年F1第4戦アゼルバイジャンGP ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)

 田辺TDは「ライバル勢は何をしていたかわかりませんし、今晩いろいろとセッティングを変更してくるでしょうから、まだわかりません」と楽観はしていないが、「初日とはいえ、出だしとしては良い一日。スタートの時点から、ある程度のセットアップが整っていたことは良かったと思います」と評価していた。

 そんな中、ガスリーにペナルティが下された。フリー走行2回目の終了間際に、ピットレーン入口で行なっているFIAの車重検査を無視して自チームのピットへ向かってしまったからだ。

 タイミングが悪かったのは、ピットに戻ったガスリーのマシンを、チームはピットストップ練習を行うためにタイヤを四輪とも交換してしまったことだった。これは重大なレギュレーション違反で、FIAはガスリーに対して、日曜日のレースはピットレーンからのスタートを命じた。

「残念ですが、ここはストレートは長く、オーバーテイクが可能。また市街地コースなので、レースではアクシデントも起きやすく、何が起きるかわかりません」(田辺TD)

 スペック2は、信頼性向上がメインだと言われているが、それはレースでより長く予選モードを使うことが可能だという意味も含まれている。

「単純に馬力が上がったというだけでなく、いろんな使い方ができるという意味で全体の性能が向上しています」(田辺TD)

 レースで思いっきりエンジンを回し、スペック2の真価を披露する良いチャンスかもしれない。

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