『ドント・ウォーリー』 どん底の人間を救う、優しき人間力に感動

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 アルコール依存症で、お酒に溺れた毎日を送っていた主人公のジョン・キャラハンはある日、交通事故にあって全身麻痺となってしまいます。胸から下が全く動かなくなり、それまで以上に酒に溺れ、自暴自棄な生活を送ります。全てがいやになったどん底の状態で、死ぬことすら考えたキャラハンを救ったのは、病院の先生でも、薬でもなんでもなく、「人間」の力でした。キャラハンのことが大好きで、彼のことをいつだって思いやってくれる友人たち。彼らは大きな愛で主人公を支え続けます。

 実はこの映画、『いまを生きる』などで知られる、亡きハリウッドスターのロビン・ウィリアムズが映画化を熱望していた作品でした。その遺志を継いだのが、映画『ミルク』や『グッド・ウィル・ハンティング』のガス・ヴァン・サント。主人公の周りを優しく照らし続ける友人たちを演じるのは、ルーニー・マーラやジャック・ブラックなどの名優たち。

 アルコール依存を治そうとする会を主催するドニーを演じるジョナ・ヒルが素晴らしい。主人公のキャラハンを演じるホアキン・フェニックスの演技はもちろんですが、私は何があっても静かに寄り添い続けるジョナの演技に心を持っていかれました。酒浸りの毎日を突破して、毒舌の風刺漫画家へと転身したキャラハンの人生から、「弱い人間ほど、強くなれる」ことを学べると思います。★★★★★(森田真帆)

5月3日(金)から全国順次公開

監督:ガス・ヴァン・サント

出演:ホアキン・フェニックス、ジョナ・ヒル、ルーニー・マーラ、ジャック・ブラック

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