ザギトワさんが復活祭に贈った思いがけないプレゼント

By 太田清

世界選手権女子で優勝し、メダルを手に笑顔のアリーナ・ザギトワ選手=3月22日、さいたまスーパーアリーナ

 日本ではあまり知られていないが、正教徒が多数を占めるロシアでは復活祭(ロシア語でパスハ)が最大のお祭りの一つだ。処刑されたキリストが復活したとされるこの日は、クリスマスと同様、不幸な境遇の人に思いがけないプレゼントをする日ともされている。 

 平昌冬季五輪女子フィギュア金メダリストで、先にさいたま市で行われた世界選手権でも勝利したロシアのチャンピオン、アリーナ・ザギトワ選手(16)が正教の復活祭の4月28日、視覚に障害がある少女の夢を叶え、リンクでフィギュアのレッスンを行った。ロシアのスポーツニュースサイト、スポーツ・ルーなどが1日までに伝えた。 

 きっかけは、ロシアの著名司会者アンドレイ・マラホフさんが司会する国営テレビの人気番組「生放送」に出演した少女スネジャナ・チェレパノワさんが、自分の夢としてザギトワさんに会いたいと語ったこと。 

 当時、ザギトワさんはカナダにいたが、マラホフさんが電話で連絡を取ったところ要請を快諾。復活祭の際に帰国した折りにチェレパノワさんと会い、スケートの手ほどきをした。マラホフさんは「ザギトワさんと会える。コーチもしてもらえる。テレビカメラもないので、思ったことをすべて彼女と話せるよ」と約束した。 

 番組は、モスクワ郊外の修道院門前町として有名なセルギエフ・ポサードにある視覚・聴覚障害者のための寄宿舎の子どもたちを番組に招き、生き別れとなった親族を捜して再会させたり、夢を聞き、それを叶えるのを手伝ったりする内容。チェレパノワさんは3才で母親を失い、以後、ウラル地方のボトキンスクなどの孤児院で暮らし現在はセルギエフ・ポサードの寄宿舎にいる。 (共同通信=太田清)

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