佐世保文学賞に萩原さん 「ドクトル太公望の世界周航記」

佐世保文学賞に輝いた萩原さん(右)と特別賞を受賞した山口さん=佐世保市三浦町、レオプラザホテル佐世保

 地域の文芸振興を目的に佐世保市内と近郊に住む作家の作品を選出する「第38回佐世保文学賞」に、萩原博嗣さん(69)=梅田町=の「ドクトル太公望の世界周航記」、特別賞には山口日都志さん(82)=大和町=の「佐世保遊里考」がそれぞれ輝いた。

 佐世保文化協会の小西宗十会長ら5人が、2017年10月から2018年9月に発表された18点を審査した。

 萩原さんは佐世保共済病院に医師として長年にわたって勤務。15年に海上保安大学校の航海練習船に臨時医務官として乗船した。受賞作では101日間の航海中の生活や寄港地のニューヨークやシンガポールなどでの体験を記述。地元の歴史に関する随筆もまとめた。

 元中学校教諭の山口さんは、市史の編さんに関わったことをきっかけに佐世保市の女性史について研究。遊郭の盛衰や米兵と女性の関わりなど、明治期から戦後の性産業を軸にして町の変遷に迫った。

 表彰式は4月24日、佐世保市内であり、小西会長が萩原さんと山口さんに賞状を手渡した。萩原さんは「船医になったことも作品を書いたことも“ひょうたんから駒”だったが、随筆を書く楽しさが分かってきた」と笑顔。山口さんは「芸者やキャバレーなどで生きた女性の優しさとたくましさに共感できた。今後も歴史の勉強を続けたい」と意欲を示した。

© 株式会社長崎新聞社