長距離を移動するチョウ「アサギマダラ」。昨年、日本から台湾へ移動した21匹中、放たれた場所が不明だった3匹のうち、1匹は長崎県佐世保市の元警察官で江迎警察署の「スクールサポーター」を務める松山今一さん(66)が佐世保市小佐々町の冷水岳から放っていたことが分かった。松山さんは「幸運なことで驚いている」と笑顔を見せた。
アサギマダラは日本や台湾、香港、インドなどに生息。春に北上し、秋に南下するとされる。日本や台湾などの愛好家は飛行ルートを把握しようと、捕まえた日時や場所を羽に記入して放す調査を続けている。
アサギマダラの美しさに魅入られた松山さんは、4年前から記入を始め、これまでに約千匹を佐世保や平戸などから放った。
昨年11月2日、冷水岳の山中で放ったうちの1匹に「SH 11.2 IM 449」と記していた。
このチョウは、15日後、約1450キロ離れた台湾の澎湖島で見つかった。長崎バイオパーク(西海市)の伊藤雅男副園長(57)が「県北地区から放たれた」と推測した4月16日付の本紙記事を松山さんが見て、伊藤さんに連絡した。
松山さんと伊藤さんは同月20日、冷水岳でアサギマダラを放った場所を確認。伊藤さんは「県内の新たな仲間との出会いを喜んでいる」と話し、チョウ談議に花を咲かせていた。
このほか「デコ 8/13 REO-9」は昨年8月13日に福島県北塩原村のスキー場で放たれたことも分かった。