MotoGPルーキーのクアルタラロ、スペインGP予選でポール獲得。ヤマハサテライトがワン・ツー占める

 MotoGP第4戦スペインGP MotoGPクラスの予選がヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで行われ、ルーキーのファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)がポールポジションを獲得。これにより、クアルタラロは最年少ポールポジション獲得記録を更新した。2番手にチームメイトのフランコ・モルビデリが入り、ヤマハのサテライトチーム、ペトロナス・ヤマハSRTがトップ2グリッドを獲得した。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は8番グリッドで、明日の決勝を3列目から迎える。

 気温18度、路面温度21度のもと行われたフリー走行3回目。セッション中盤、10コーナーでカル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)が激しく転倒。クラッチローはスリップダウンを喫し、マシンはグラベルを滑って激しくフェンスに激突した。このクラッシュによりエア・フェンスの修復が必要になったことから、残り時間17分で赤旗が提示され、セッションは一時中断となる。

 約8分後、セッションが再開。クラッチローはピットに戻って再び走行を行っている。セッション再開後間もなく、各ライダーが予選Q2へのダイレクト進出を目指すアタックを敢行。中上やルーキーのクアルタラロなどが、一時トップに立つ躍進を見せる。

フリー走行3回目で、一時は上位につけた中上

 残り5分を切ると、タイムの更新合戦はさらに激しさを増した。目まぐるしくトップが入れ替わるなか、ペトルッチが1分36秒957をマーク。新たなオールタイムラップレコードを樹立する最速タイムでトップを奪取すると、フリー走行3回目を制した。

 2番手にはマルケス、3番手には気を吐いたクアルタラロ、4番手にはアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)、5番手にジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)が続いた。中上は前日の自己ベストを更新し、7番手でセッションを終え、総合としても7番手で予選Q2進出を決めている。

 一方、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPのふたりはバレンティーノ・ロッシが総合11番手、マーベリック・ビニャーレスが総合15番手で、Q1から予選に臨むこととなった。

 フリー走行3回目ではトップから12番手のジャック・ミラー(プラマック・レーシング)までが0.5秒以内の差という、非常に接近したタイム差となり、同時に14番手のアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)までが従来のオールタイムラップレコード、1分37秒653を更新するタイムを記録している。

レースペースを確認するフリー走行4回目ではトップタイムをマークしたマルケス

 予選前に行われたフリー走行4回目では、序盤からマルケスがトップにつけ、そのままこのセッションを制した。このセッションではアンドレア・イアンノーネ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)が11コーナーで激しくクラッシュ。担架で運ばれ、その後、ピットに戻ったが、左足首を負傷したということだ。

■Q1:ロッシ、まさかのQ1敗退を喫す

 予選Q1は気温21度、路面温度31度のドライコンディションのもと、行われた。序盤にターゲットタイムをマークしたのはビニャーレスで、トップタイムを記録すると2周を周ってピットイン。その後ロッシがトップに浮上し、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPのふたりがワン・ツーを占める。

 ビニャーレスは残り7分で再びコースイン。ほかのライダーがピットインのタイミングで、セカンドアタックに入った。ビニャーレスは残り5分でトップタイムをマーク。さらに翌周にもタイムを更新して1分37秒164を記録すると、トップを堅守。ビニャーレスはその後、セッションの終了を待たずにピットへ戻った。

 残り1分を切るころ、ルーキーのフランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)が2番手につけていたロッシのタイムを0.072秒更新。ロッシに替わって2番手に躍り出る。Q1はそのままチェッカーを迎え、トップはビニャーレス。バニャイアが2番手で、このふたりがQ2進出を果たした。

 ロッシは終盤にタイムの更新ならず、Q1で3番手。明日の決勝を13番手から挑む。また、フリー走行4回目で転倒したイアンノーネは、予選を走行しなかった。

■Q2:ポールポジションを獲得したのはルーキー、クアルタラロ

 続いて行われた予選Q2は気温、路面温度ともにQ1とほぼ変わらないコンディション。まずトップタイムを記録したのはマルケスで、いきなり1分36秒970を叩き出すと、そのままピットイン。リヤタイヤを交換すると、すぐにコースインして再びアタックに向かう。一度目のアタックを終えて、トップのマルケスに続くのはモルビデリ、ペトルッチ、ドヴィツィオーゾ、クアルタラロだ。

予選Q2の終盤にマルケスのタイムを更新してトップに立ったクアルタラロ

 マルケスは残り4分で再びピットに戻り、3度目のアタックを敢行。そんな終盤、マルケスのタイムを上回ったのがクアルタラロだった。クアルタラロは1分36秒880のタイムを叩き出すとトップに浮上。このタイムはフリー走行3回目でペトルッチが記録した、オールタイムラップレコードを更新するものだった。

2番グリッドを獲得したモルビデリ。グリッドのトップ2をペトロナス・ヤマハSRTが占めた

 さらに、モルビデリがタイムを更新して2番手に浮上。その後、クアルタラロとモルビデリのタイムを上回るライダーは現れず、ルーキー、クアルタラロが最高峰クラスで初のポールポジションを獲得した。2番手にはモルビデリが続き、ヤマハのサテライトチーム、ペトロナス・ヤマハSRTがグリッドのワン・ツーを占めた。

 また、クアルタラロはポールポジションの最年少獲得記録を更新。2013年、アメリカズGPにおいて20歳62日でポールポジションを獲得したマルケスの記録を縮め、20歳14日でのポールシッターとなった。

以前の最年少ポールシッター、マルケスと新たな最年少ポールシッターとなったクアルタラロ

 3番手にはマルケス、4番手はドヴィツィオーゾ、5番手にはビニャーレスが続き、フリー走行3回目でトップタイムを記録したペトルッチは終盤に1コーナーで転倒を喫し、7番手。ロレンソも終盤に2コーナーで転倒し、11番手に終わった。

 今週末、好調さを見せていた中上は8番グリッドを獲得。自己最高グリッドの獲得はならず、決勝を3列目から迎える。

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