平成を駆けた名馬たち~後編~

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平成を駆けた名馬たち~後編~

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後編では64年ぶりに牝馬でダービーを制したウオッカ。 日本競馬界屈指のスプリンター・ロードカナロア。 同世代でJRA史上7頭目のクラシック3冠を達成した、オルフェーヴル。 令和へ向かって駆け抜けるオジュウチョウサンの勇姿などを纏めました。

○ウォッカ=平成16年に生をうけた史上最強の牝馬と称される、まさに女傑中の女傑。平成19年の日本ダービーに挑み、牝馬として64年ぶりの優勝を果たした。レース後には鞍上の四位騎手と共に、台覧された皇太子徳仁親王に最敬礼。大人しく佇む姿は、競馬ファンのみならず世間でも話題となった。ダイワスカーレットを2㌢差で制した平成20年の天皇賞(秋)を含むGⅠ通算7勝。引退後はアイルランドで繁殖生活を送っていたが、新元号が発表された平成31年4月1日、蹄葉炎から安楽死の措置が取られ、この世を去った。写真は平成19年の日本ダービー。

○ヴァーミリアン=平成16年デビューのエルコンドルパサー産駒。4戦目のラジオたんぱ杯2歳Sで重賞初勝利。翌年の秋よりダート路線に変更。平成19年の5歳時に臨んだ川崎記念でJpnI初制覇。以来中央、地方を問わず着実に勝ち星を重ね、同年のジャパンカップダート、翌年のフェブラリーSをV。JRA認定GI・JpnIレース9勝。日本競馬史で永く残る記録を叩き出した。写真は平成19年のジャパンカップダート。

○ダイワスカーレット=安藤勝己騎手と共に臨んだ全12レースは8勝、②着4回で連対率は100%! 同期のウォッカと並ぶ最強牝馬の1頭に数えられる。主な勝ち鞍は平成19年の桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯。平成20年の有馬記念では37年ぶりとなる牝馬優勝を成し遂げた。写真は平成20年の有馬記念。

○ヴィクトワールピサ=平成19年生まれ。2年後の京都競馬場でのデビュー戦はローズキングダムに敗れるも、その後は5連勝で皐月賞まで制した。3歳秋には仏GⅠ凱旋門賞に挑戦して⑦着も有馬記念に勝利し、再び4歳で世界に挑戦。ドバイワールドカップを日本馬として初制覇した。逃げ粘ったトランセンドとのワンツーフィニッシュを決め、東日本大震災に沈む日本に勇気を与えた。写真は平成22年の皐月賞。

○スノーフェアリー=アイルランド生まれ。セリでは1800ユーロ(約23万円)で買い手がつかず、牧場に買い戻された経緯の持ち主。しかし3歳春、イギリス、アイルランドのオークスを連勝。秋に来日してエリザベス女王杯に参戦。3冠牝馬アパパネを筆頭に並み居るGⅠ馬の出走で4番人気ながら、欧州での輝かしい戦歴のとおり最後の直線で強烈な末脚で他馬を圧倒。②着馬に4馬身差をつける快勝で報奨金を合わせ1億8000万円を手にした。翌年も再来日し、再度〝ワープ〟と称される豪脚で史上3頭目となるエリザベス女王杯連覇を決めた。セリ市で売れ残った少女が総賞金6億円近くを稼ぎ出すシンデレラストーリーを実現した。写真は平成23年のエリザベス女王杯。

○トランセンド=平成21年デビュー。父ワイルドラッシュの血を受け、強力な先行力を武器にダート路線で本領を発揮した。平成22年、23年のジャパンCダートで史上初の連覇を達成する。フェブラリーS、南部杯なども優勝し、GⅠ4勝。平成25年引退、種牡馬入り。写真は平成23年のジャパンカップダート。

○キズナ=馬名は平成23年3月、ドバイワールドカップに由来する。挑んだヴィクトワールピサ、トランセンドが日本馬によるワン・ツーフニッシュを決め、震災直後の日本へ明るいニュースを届けた。その報に触れたオーナー・前田晋二氏が関係者諸氏の絆、団結、不断の努力に敬意の念を抱き、当時所有していた中で一番調子の良かった当歳馬に、この名を与えた。GⅠ勝ちは平成25年の日本ダービーの1勝に終わるも、未だに多くのファンに愛されている1頭。写真は平成25年の日本ダービー。

○ロードカナロア=日本競馬界屈指のスプリンターとして名を残す。平成22年デビュー。競走馬生活で掲示板を一度も逃すことなく、平成24年のスプリンターズS制覇を皮切りに短距離GⅠ6連勝。同年日本馬にとって最難関のレースのひとつ、香港スプリントを制覇のみならず翌年に連覇するなど、輝かしき戦績を積み上げる。平成25年の香港スプリント優勝後、引退。平成30年にはJRA顕彰馬に選定された。種牡馬としてもアーモンドアイを輩出するなど活躍中。写真は平成25年のスプリンターズS。

○オルフェーヴル=平成22年、夏の新潟でデビュー。初戦をいい決め手で勝利するも、ゴール後に鞍上の池添騎手を振り落とす。ここから暴れん坊エピソードが幕を開けた。翌年スプリングSを皮切りに勝鞍を続々積み上げ、JRA史上7頭目のクラシック3冠を達成。有馬記念も制す。ただし、4歳初戦となった阪神大賞典では3角で逸走。再び気性難をみせる。秋の凱旋門賞とジャパンC、翌25年の凱旋門賞ではいずれも牝馬に敗れる②着もあったが、ラストランとなる有馬記念を圧勝で制して引退。GⅠ通算6勝。写真は平成25年の有馬記念と、同日に行われた引退式。

○ジェンティルドンナ=平成21年生まれのディープインパクト産駒の中で、代表的な一頭に数えられる最強牝馬。平成24年に史上4頭目となる牝馬3冠を達成し、同年と翌年のジャパンカップでは史上初の連覇を決めた。現役最終年となる平成26年にはドバイシーマクラシック、引退レースとなった有馬記念を制覇してGⅠ7勝を挙げた。「貴婦人」の名に相応しい華麗な成績を残す。写真は平成26年の有馬記念。

○ゴールドシップ=平成21年に生まれたステイゴールド産駒。平成23年7月、函館の芝1800㍍新馬戦でレコードでのデビュー勝ち。翌年の皐月賞を制す。積み重ねた勝ち鞍は13。うちGⅠ6勝は芦毛の馬ではJRA最多。金船の名に相応しく輝かしい記録を残した。同時に平成27年の宝塚記念での1番人気を裏切る大出遅れからの⑮着はファンの間で語り草。平成27年引退。写真は平成27年の天皇賞(春)と、同年の引退式。

○ドゥラメンテ=ダイナカールから連なる名門牝系に、ノーザンテースト、トニービン、サンデーサイレンス、キングカメハメハと名種牡馬が配合された、日本近代競馬を牽引する社台グループの結晶。平成24年生まれ。3番人気で迎えた皐月賞では4コーナーで大外にヨレる荒削りな面をみせたが、直線は強烈な末脚で突き抜けて勝利。断然の1番人気に支持されたダービーでは、危なげなく抜け出して2分23秒2のダービーレコードで2冠を達成した。平成28年、宝塚記念(②着)後に競走能力喪失となり引退した。写真は平成27年の日本ダービー。

○モーリス=平成25年デビュー。素質が開花したのは明け4歳から。7連勝で安田記念、マイルCSに香港GⅠを2つ制した。マイル戦で滅法強かったが、競走生活終盤の平成28年には2000㍍の天皇賞(秋)、香港GⅠ香港カップを制すなど、進化し続けた。GⅠ勝利は海外での3勝を含む6勝。平成27年、JRA年度代表馬に選出された。写真は平成28年の天皇賞(秋)。

○キタサンブラック=実質的なオーナーで大歌手の北島三郎氏に初のGⅠ勝利をもたらし、オーナーに負けぬ知名度と実績を残した。平成27年デビュー。GⅠは7勝。平成28年と翌年の天皇賞(春)を連覇し、平成29年の天皇賞(秋)と合わせて史上2頭目となる天皇賞3勝を挙げた。平成29年念願の有馬記念を制し、引退。獲得賞金額はJRA歴代1位。見事な金字塔を打ち立てた。写真は平成29年の有馬記念。

○アーモンドアイ=ロードカナロアの産駒。平成29年のデビュー戦は②着に終わるも、以降は向かう所敵なしの連勝を続けている。平成30年には桜花賞、オークス、秋華賞を制覇し、牝馬3冠を達成。次戦のジャパンカップでは先行するキセキを豪快に突き放して優勝。勝ち時計2分20秒6のワールドレコードをたたき出し、世界の競馬ファンに衝撃を与えた。翌31年には海外挑戦。ドバイターフを制して鮮烈な世界デビューを果たした。写真は平成30年のジャパンカップと、平成31年のドバイターフ。

○オジュウチョウサン=平成25年デビュー。平地競走では芽が出なかったが、翌年から障害へ路線変更して平成27年、6戦目にして初勝利を挙げる。平成28年中山グランドジャンプでJ・GⅠを初制覇すると、以降は覚醒したかのように怒涛の11連勝! 平成30年の有馬記念(⑧着)に武豊騎手と挑戦して話題となった。さらに今年は再度、障害戦へ戻り、2連勝。中山グランドジャンプを勝ち、JRA史上初となる同一重賞4連覇を達成するなど、数々の記録を打ち立ててきた。令和の時代ではどのような走りとジャンプを魅せてくれるのか、注目が集まる。 写真は平成31年の阪神スプリングJ。