沖縄を走った鉄道の残照_宜野湾にあるケービンの台車(再掲2017/08掲載)

「あぁ、このゴッパチをも少し行ってね、真志喜の南っていう交差点を右曲がるとあるよぉ」

沖縄県宜野湾市真志喜。米軍海兵隊、普天間飛行場(ROTM)の西端にある、宜野湾市立博物館。ここに、大正時代に開業した沖縄県営軽便鉄道の台車が保存・展示してある。

沖縄県営鉄道(通称ケービン)は、当時の那覇駅を起点に、与那原線(9.4キロ)、嘉手納線(22.4キロ)、糸満線(15キロ)とおもに3系統を運営。嘉手納線は、ケービン2番めの路線として1922(大正11)年に開業した。

蒸気機関車やガソリンカーによる列車は、那覇を発つと、古波蔵(こはぐら)、与儀(よぎ)、安里(あさと)、内間(うちま)、城間(ぐすくま)、牧港(まちなと)、大謝名(おおじゃな)、真志喜(ましき)、大山(おおやま)、北谷(ちゃたん)、桑江(くわえ)、平安山(へんざん)、野国(のぐに)ととまり、嘉手納駅に着いた。

地元のおじちゃんに教わったとおり、国道58号を北上し、真志喜(南)交差点を右折する。普天間飛行場の高台へ向けて坂道を上がっていくと、白地と曲線でつくられた宜野湾市立博物館。

保存・展示されている台車は、かつての大山駅付近の建設現場から、1983年に出土したもの。軌間760ミリということで、サイズは小柄。車輪や車軸、軸箱、枕バネ、台車枠など、ほぼそのままのかたちで残っている。

当時の時刻表など、貴重な資料も多く展示されている宜野湾市立博物館。軍用機のごう音がとどろく空から水平線へと視線を移すと、宜野湾の青い海が見える。

宜野湾の街へ出て昼めしにするか、それとも、北谷まで足を伸ばすか……。

 

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