ラグビー日本代表 長崎県勢の足跡 キャップ保持者は13人

 

 9月20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)日本大会。今回は日本代表候補に県勢の名前はないが、これまで13人が各種国際試合で桜のジャージーを着て戦った。夏季五輪、サッカーW杯に次ぐ規模の「楕円(だえん)球の祭典」を前に、彼らの勇姿を振り返る。

 ラグビーW杯は1987年の第1回大会から4年に1度開催され、今大会で9回目となる。この舞台を経験した県勢は2人。2003年オーストラリア大会で吉田尚史、07年フランス、11年ニュージーランドの2大会で平浩二が日本代表に名を連ねた。
 平はフランス大会のカナダ戦でトライを決めるなど両大会で活躍。国・地域の代表選手として国際試合に出場した試合数を意味する「キャップ」は県勢最多の32を誇る。現役時代、身長185センチ、体重96キロだった大型CTBは、主力として日本代表をけん引した。
 そのキャップを獲得した県勢第1号は原進(故人)。相撲部だった諫早農高時代に楕円球と出合い、ラグビーで東洋大、近鉄に進んだ。当時の日本勢としては大柄な身長180センチ超。機動力のあるFWとして17の国際試合に出場し、1976年には世界選抜メンバーに選ばれた。引退後はプロレスに転向。「阿修羅(あしゅら)・原」のリングネームで多くのファンを沸かせた。
 10キャップの柴田浩一は代表試合数で平、原に次ぐ。現役最後にプレーした東京三洋(現パナソニック)で監督も務めた。2003年W杯メンバーの吉田は国内最高峰のトップリーグに13シーズン在籍したトライゲッター。東日本大震災があった11年からは「復興の力になりたい」と岩手県の社会人チーム釜石SWでプレーした。
 以上の4人に加え、元野球選手で大学からラグビーを始めた身長190センチ超の近藤高信、大学日本一を経験した渡辺(旧姓瀬川)健三と森岡公隆、08年アジア5カ国対抗に出場した尾崎章は第一線から退いている。
 現役で代表歴がある県勢は村田大志、山下一、前田土芽、山路泰生、伊東力の5人。村田は12~13年シーズンに、サントリーのトップリーグと日本選手権の2冠に貢献して注目された。初キャップを獲得した14年のアジア5カ国対抗でも存在感を示している。期待された前回のW杯出場は故障などもあって逃したが、戦列復帰後はチームの主力として躍動している。
 山下と前田は16年、伊東は17年に、いずれもアジアチャンピオンシップで代表メンバー入り。山路は16年に31歳でテストマッチへ招集された。社会人1年目の前田を除くと、ベテランの域に達してきた選手も多いが、彼らが再びキャップを重ねると同時に、新たな県勢のキャップ獲得者が出ることが期待される。
 9月に入れば長崎、島原各市で、W杯に出場するスコットランド、トンガの事前、公認キャンプが始まる。選手と地域の子どもたちの交流なども予定されており、県内のラグビー熱も高まりそうだ。これをきっかけに、長崎からまた、次代の桜の戦士たちが生まれるかもしれない。

県勢で初めて桜のジャージーを着てプレーした原(中央)。17の国際試合で活躍した

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