基調講演から見えるドローンの未来と課題〜[Xponential2019]

AUVSI Xponential今年も開催!

令和を迎えた日本のゴールデンウィークに毎年開催される(もちろん日本からという意)無人機の祭典AUVSI Xponential(エクスポネンシャル)。今年はイリノイ州シカゴで4/30-5/2の三日間で開催された。

会場となったマコーミックプレイス奥、アーリー・クラウン・シアターでの基調講演には、まずホストとしてAirBusのトラビス・メイソンが登壇し、関係者一同がここに集まることに意味があり、今後の無人機の世界を一緒に協業して行くことである意気込みを語り、場を温めた。

その後、AUVSIの会長であるブライアン・ウィンが登壇し、集まっている関係者一同に感謝の念を表すとともに、今年のXponentialの特色として、海上海中で活躍する無人機が盛り上がってきていることや、UGVと呼ばれる地上ドローンも新たなカテゴリーとして広がりを見せていることなどを紹介した。

また、幅広い業種に渡って様々な使用方法が増えており、95%の関係企業が今後も業界は拡張を予想し、93%の企業が今後も業績がアップしていくと考えているという調査結果なども合わせて発表されていたが、

重要なことは世論の醸成であり、世間一般に受け入れられることが非常に重要である。

と語った。

その後登壇したのは、シリコンバレーにおけるスタートアップの内幕を面白おかしく取り上げたHBOドラマ「シリコンバレー」のシナリオライターであり、ベストセラーとなった「スタートアップ・バブル 愚かな投資家と幼稚な起業家」の著者でもあるダン・ライオンズがテクノロジーと人間との関わりに関して、彼特有のシニカルな視点でドローンの世界を紐解いた。

ドローンの世界が素晴らしいのは、数年前には思いもしなかった使い方が採用されて、業界をディスラプトしていくところだ。

とテクノロジーの進化に敬意を評しつつも、同時にテクノロジーが人々に与えている恐怖感について警鐘を鳴らしてた。会場のスクリーンに示されたグーグルで「robot will」入力した時のオートフィルが表示されていたが、まさにそこにはテクノロジーに対する人々の恐れが露呈していた。

しかし、スマートで"賢い"マシンと”愚かな”人間がどのように職場で共存していくかが重要であり、テクノロジーが持つ素晴らしさとともに、テクノロジーが人々にもたらす不安感やうつ病を減らすには、企業はもっと人に待遇面などを含め投資するべきである。研究結果では、人に投資している会社ほど良い成長を示しています。

と述べていた。ダン・ライオンズの後を引き継いで登壇したのは、プレシジョンホーク社長クリス・チャセンとフロリダ・パワーアンドライト(フロリダ電力会社)のエリック・シュワルツだ。

クリス・チャセンは、プレシジョンホークが現在開発しているAIとディープラーニングを用いた電力線、発電所検査のトータルソリューリョンをデモして見せた。ドローンによって取得された写真データから、不具合がある箇所を表示させてレポーティングするというソリューションだが、電力会社と共同でプロジェクトを進めているため多くのデータが取得できており、AI&ディープラーニング機能ををますます強化させていくことが可能になっていると強調していた。

また、同時に登壇したエリック・シュワルツは、ドローンを使用することによって、これまで人力で一本一本の電柱を検査していた行程が効率的に改善できたという。特にハリケーン・イルマで被害が出た2017年、ドローンによる被害機器アセスメントを迅速に行うことができたため、非常に早く電力を復旧させることができたとのこと。フロリダ・パワーアンドライトはフロリダ州だけで75000マイルの電力線を保有しているが、

ドローンによる検査が今年度は1万マイルを超える距離に達するだろう。

と述べた。今年もますます盛り上がりを見せるドローン業界だが、ますます実用的なソリューションが創出されてくることを予想させる基調講演となった。引き続き会場からの情報をお伝えしていきたい。

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