初の公設民営レストランで地場食材をPR 清川村

厨房の前に立つ稲葉さん(右)と岩澤村長=清川村煤ケ谷

 食材に恵まれた村の魅力を発信する場として清川村煤ケ谷地区に今春、同村初の試みとなる公設民営のイタリア料理のカフェレストランが開店した。地域ぐるみで新たな産業や需要を生みだそうと、村が整備した複合施設「ローカルイノベーション拠点」の一角にあり、地域活性化の一翼を担う。初のゴールデンウイークは「入店できない客も出た」(同村)といい、好スタートを切った。

 店名は、イタリア語で「美しい村にあるレストラン」を意味する「トラットリア・ベル・パエーゼ・キヨカワ『四季~クワトロ~』」。4月20日にオープンした。

 厨房に立つのは、8年ほどイタリア料理を学び、うち2年半を現地での修業に注いだ稲葉智美(さとみ)さん(34)=川崎市出身。昨年5月の選定を経て就いたが、以前から村の移住者たちでつくる「地域おこし協力隊」でも活動しており、「採れたての地場の食材でもてなしたい」と意気込んでいる。

 カフェレストラン事業が企画されたのは、「地場産品の魅力を十分に発信し切れていない現状からの転換を図りたい」という村の狙いがある。

 ブランド豚「清川恵水ポーク」や基幹作物の「清川茶」など多様な地場産品に恵まれている同村。同地区でも村役場近隣の「道の駅」で地場産品の販売などに力を入れてきたが、村全体を見渡すと飲食店や小売店が乏しく、地場産食材を手軽に味わえる場も限られていたという。

 こうしたことから、カフェレストランでは、パスタやピザといったイタリア料理に、清川恵水ポークや、村民が栽培した野菜などもふんだんに使用。稲葉さんが地域おこし協力隊の活動で培った知識を生かし、採れたての山菜なども食材に使っていく。

 席数は店内に19、テラスに8の計27。村によると、来店客の組数は1日当たり平均40組ほどで、最高は50組に上った。テークアウトでも楽しめるジェラートはお茶やタデ科の野菜「ルバーブ」を使用しており、こちらの評判も上々。ジェラートは6月ごろをめどに道の駅でも販売できるように計画されているという。

 カフェレストランは、ローカルイノベーション拠点の稼働施設の第1号。同拠点は国と県の交付金なども含めて計約1億8400万円をかけて整備されたが、今後はサテライトオフィスや村特産物開発研究室が順次、入居や本格稼働が始まる計画だ。

 レストランがにぎわいを呼び、さらなる需要喚起に結び付けたいと関係者の期待は大きい。岩澤吉美村長は「村民にも観光客にも多くの人に訪れてもらいたい」と呼び掛けている。

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