久保建英、安部、大迫のU-20W杯招集外は「大きな過ち」ではないのか

日本サッカー協会は7日、U-20ワールドカップに臨むU-20日本代表のメンバーを発表した。

大きな話題となっているのが、久保建英(17歳)、安部裕葵(20歳)、大迫敬介(19歳)の3名が外れたことであろう。既に前日よりコパ・アメリカに臨むチームへの“昇格”が伝えられ、選出を見送られたものと思われる。

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能力のある選手であれば世代別よりもA代表を優先するのは世界的な流れであり、それ自体に異論はない。しかし今回がその適切な時期であったといえるのだろうか?

状況の難しさは分かるが…

まず改めて、各世代の日本代表が今月以降に参戦する国際大会(男子)の日程を見てみよう。

U-20ワールドカップ(5月23日~6月15日) - U-20日本代表

トゥーロン国際大会(6月1日~6月15日) - 五輪代表? 大学選抜?

コパ・アメリカ(6月14日~7月7日) - A代表? 五輪代表?

5月23日にU-20ワールドカップが開幕し、その後、トゥーロンを挟んでコパ・アメリカが閉幕する7月7日まで各大会は途切れることなくおよそ1か月半に及ぶ。

この間、Jリーグは基本的に中断されない。5月23日から7月7日までには第13~第18節の6試合、その前後を含めるとさらに試合が行われる。

そのことから、J1クラブの主力選手を複数の大会に招集することは事実上難しい。さらに各世代の代表に招集される選手も、クラブから人数などに不満が出ないよう公平に選出することが求められる。

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そうした状況で久保、安部、大迫の3名はU-20ワールドカップから外れ、コパ・アメリカのみに出場する(予定)ということになる。

優勝を狙えるチームだった

今からちょうど20年前、小野伸二、稲本潤一、高原直泰、本山雅志、遠藤保仁、小笠原満男らを擁し、1999年ワールドユースで準優勝を成し遂げたメンバーは“黄金世代”と呼ばれている。

彼らはその後のシドニー五輪や2002年ワールドカップでの躍進、欧州リーグへの挑戦といった新しい時代を築き上げたが、今年のU-20世代はそんな20年前の選手たちを凌駕するほどの陣容である。

主将だった橋岡大樹の負傷は残念だが、前述の久保、大迫、安部は既にJ1で“違い”を見せている。

昨夏レスター移籍を伝えられた田川亨介、高校在学中にセレッソ大阪でデビューした西川潤など、過去のどの世代と比べても遜色なく、全員が揃えば大会で十分に上位を狙える選手たちなのだ。

真剣勝負の国際大会で得た勝利の経験は何物にも代え難い。もし優勝となれば王者としてのメンタリティを得ることとなり、それはA代表にも間違いなく繋がる。

一方コパ・アメリカはどうだろうか。

もちろん苦手な南米勢と戦えることは大きな財産である。しかし未だ陣容が不透明ななか若い3人の出番は保証されないうえ、ぶっつけ本番のチームで勝ち進めというのはかなり難易度が高い。

つまり今回の“振り分け”の結果、U-20、コパ・アメリカに臨むチームの双方が中途半端になり、ともに早期敗退してしまう可能性が理論上、高まったと言わざるを得ないのである。

ならば3人をU-20に専念させ、本気で優勝を狙うべきだったのではないか。大迫に関していえば、AFCU-19選手権で守護神だった谷晃生(ガンバ大阪)がケガで外れたことを考えれば尚更である。

安部は他の二人と同格か

また、3名についてさらに触れれば、久保、大迫の今季のプレー内容、将来性は間違いなくA代表の招集に値する。

一方、U-19代表の「10番」だった安部は昨年、新人王に該当する「ヤングプレーヤー賞」を受賞し年末のクラブワールドカップでも活躍したものの、飛躍を期待された今季は開幕から低調で期待を裏切っている。

先日初ゴールを記録しようやく調子を上げつつあるかもしれない。しかし現時点でA代表の招集に値するかといえば久保、大迫に比べると疑問符がつくのも事実だ。

また、彼のポジションである左サイドは中島翔哉の他にも多数のライバルたちがいる。例えばドイツ2部で結果を残し始めている奥川雅也など他にも優先的に試せる選手たちはいるのではないか。

コパ・アメリカへの提言

もう決まってしまったことはどうしようもない。

そうであれば、筆者はコパ・アメリカに「本気のメンバー」で臨んでもらうことを要望したい。

もちろんアジアカップを戦った主力の招集は難しいだろう。だが仮に主力を招集できないとしても、五輪世代だけのメンバーではなく、Jリーグなどで結果を残している選手たちを集め、本気で勝ちに行く陣容で臨むべきである。

コパ・アメリカはグループ3位でも突破の可能性がある。上手くいけば4試合を戦うことができ、決勝トーナメントからは何が起こるかは分からない。

U-20ワールドカップという晴れ舞台を諦めさせてまで若い3人を飛び級で選んだ意味とは何か。そのことを忘れず、コパ・アメリカのメンバーを編成してほしい。

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