神奈川県立学校生徒、55人セクハラ被害 懲戒免職も

 学校生活におけるセクハラについて、神奈川県教育委員会が県立学校の生徒を対象に実施した2018年度のアンケートで55人が被害を受けたり、見聞きしたりしたと回答した。中には、県立高校の男性実習助手が女子生徒にみだらな行為をして懲戒免職処分に至った事案も含まれる。県教委はセクハラに対する意識の向上を図るため、県立学校の全教職員を対象に新たな実態把握調査も実施し、8校で10件のセクハラ言動が報告された。

 生徒を対象とした調査は、答えられる範囲で任意に回答。県教委に直接郵送し原則、学校名と学年を記入し、氏名は無記入でも受け付けた。

 学校生活の中でのセクハラ被害状況を複数回答で尋ねたところ、43人が「自分自身が被害を受けた」と回答。「他の生徒が被害を受けた」は25人だった。

 43人にセクハラ行為をしたのは教員が24件で最も多く、生徒15件、顧問の教員以外の部活動指導者1件、その他6件。被害内容は「必要もないのに体に触られた」が20件で最も多く、「性的なからかいや冗談などを言われた」の15件が続いた。「女(男)には任せられない」「男(女)らしくない」など性別への固定観念により決め付けられたケースも5件あった。

 「性的な関係を求められた」は2件。このうち1件は県立高校の20代の男性実習助手が行為者で、3年女子生徒にみだらな行為をしていたことがアンケートで発覚し、処分に至った。

 被害の対応策として、友人や家族ら身近な人に相談したのは20件、先生や相談窓口などに相談したのは12件で、「何もしなかった」が11件に上った。

 調査は06年度から3年に1度、13年度からは毎年実施され、18年度の調査は県立高校や中等教育学校・後期課程、特別支援学校・高等部の計172校の生徒約13万900人、教職員約1万5900人が対象。8日の県教委定例会で結果が報告された。

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