大谷の人生初の大手術を言葉と経過で振り返る「抵抗はありました。でも長期的に見た時に…」
エンゼルスの大谷翔平投手が7日(日本時間8日)の敵地・タイガース戦で「3番・指名打者」でメジャー復帰。4打数無安打1打点1四球2三振とヒットは出なかったが、試合後には「楽しかったです」と笑顔を見せた。
昨年10月1日に右肘内側側副靭帯再建術(トミー・ジョン手術)を受けてから219日。人生初の大手術、二刀流選手のトミー・ジョン手術は前例がない中、この日まで着実にリハビリを行ってきた。昨季終了後から術後経過、大谷やオースマス監督らの言葉で復活までの道のりを振り返っていきたい。
※日付は大谷帰国中は日本時間、渡米中は米国時間。
【2018年】
▽9月30日
昨季最終戦の本拠地アスレチックス戦で「3番・DH」で先発出場。9回先頭で中前打を放ち、サヨナラ勝ちに貢献した。「来年に向けてしっかりとレベルアップできるように大切なオフだと思う。しっかり練習して、また成長できるように頑張りたい」と今季への意気込みを語った。
▽10月1日
エプラーGMが大谷が米ロサンゼルス市内の病院で右肘内側側副靭帯再建術(トミー・ジョン手術)を受け、成功したと発表した。
▽10月22日
オースマス監督が本拠地で監督就任記者会見。大谷の状態について、「肘の可動域が高いレベルに戻っている」と説明。20年の二刀流復活へ「それがプラン」と断言する。
▽11月6日
エプラーGMが大谷がトミー・ジョン手術から順調に回復していることを報告。地元紙「LAタイムズ」のマリア・トーレス記者が自身のツイッターで「TJ手術から順調に回復。肘はほぼ全伸展するという」と伝えた。
▽11月12日
ア・リーグ新人王を受賞する。電話会見で「もっともっとこの先のほうが長い。そこで活躍できるように来年に向けて頑張りたい」とさらなる進化を誓った。
▽11月22日
都内の日本記者クラブで会見に臨み、右肘の手術について「抵抗はありましたし、入れない方がいいのではと思っていたが、長期的に見た時に健康な状態で不安なくマウンドで自分のパフォーマンスを見せるのが一番。術後の経過は順調です」と報告した。
▽12月10日
エプラーGMがウインターミーティングで経過報告。「順調にやっている。素晴らしい。可動域は完全な状態だ」と明かし、来年1月に米ロサンゼルスで医師による診察を受ける方針を示す。
▽12月13日
「2018 毎日スポーツ人賞」の「グランプリ」を受賞し、表彰式に出席。「すごく順調に来ている。このままいいペースで調整できれば」と手応え。2月のキャンプに向けて「確実にバットは振れていたいなとは思っています。ティーバッティングも軽く打ち始めというか、入れれば十分。そこまでの過程が大事」と話した。
▽12月20日
日本プロスポーツ大賞の大賞を受賞。受賞式に出席し、「恐らくリハビリと並行しながらのシーズンになる。早く実戦に入って、戦力に戻れるように」と意欲。「年内まではやることは同じ。アナハイムに戻るまでは、無理に上げることもなく引き続きのメニューになる。地味な練習をしっかりやっていければ、実戦に入った時にスムーズに入っていける」と話した。
2・13キャンプイン前に素振り開始「一歩ずつが必ずに復帰につながる」
【2019年】
▽1月26日
ニューヨークで行われた全米野球記者協会(BBWAA)の夕食会に出席して英語でスピーチ。「次回ここに立つ時はこのカンニングペーパーが必要ないといいですが」と最後にユーモアも交えた。
▽1月31日
エプラーGMが報道陣の電話会見に応じ、バッテリー組のスプリングトレーニングが始まる2月13日から米アリゾナ州テンピの球団施設でリハビリすると明言。3月28日のアスレチックスとの開幕戦を欠場する見通しを示す。
▽2月12日
オースマス監督が米アリゾナ州テンピで会見し、復帰時期について「5月頃を今は目標」と明かした。
▽2月13日
バッテリー組がキャンプイン。8日から素振りを始めたと明かした。「普通にできている。今できるメニューを一日一日しっかりこなしたい。その一歩ずつが必ず復帰につながると思って、一日一日1つのメニューを大事にやりたい」と意気込んだ。
▽2月17日
報道陣の取材に応じ、「10割かどうか分からないが、それなりに振れている」と明かした。右肘の状態については「元に戻っている感覚はある。ただ、打撃も球も投げてない。実際にどうなのか確認していない。日常生活は何も問題ない。普通の感覚に戻っている」と説明した。
▽2月22日
置きティーを使ったティー打撃を術後初めて行った。素振り再開から2週間。素振り35本、ティー打撃を20本。2日連続で行った23日に「ほぼ不安なくできたので良かった。ほぼ思い切り打ちます。できればもっともっと上げていきたい気持ちはありますけど、確実に進んでいる。そこに楽しみも覚えてますし、また次のステップに向かってやりたい」と声を弾ませた。
▽2月27日
2日連続でブルペンで打席に入って球筋を確認した。昨季10勝を挙げたバリアの球を計22球。「まずは投手との距離感だったりとか、タイミングをしっかりと。いろんな投手のタイミングを一発で。初めて見た投手に対して、どういう風に見えるかがすごく大事」と話した。
3月上旬にキャッチボールを再開、現役引退イチローに「目標にしてやりたい」
▽3月1日
術後初めてトス打撃を行った。素振り15球、ティー打撃20球を行った後、ボールを下から投げるソフトトスを15球。順調な過程に、オースマス監督は「彼は本当にせっかち」と笑わせた。
▽3月8日
術後初めて投球した。軽めの投球で12分間60球。最長40フィート(約12.19メートル)では30球を投げた。その後、ティー打撃、トス打撃も行った。
▽3月11日
今季年俸65万ドル(約7232万円)で今季の契約に合意した。昨季の年俸54万5000万ドル(約6060万円)から10万5000万ドル(約1168万円)のアップ。デビュー3年以内の若手選手が結果を残しても年俸調停権取得までは最低年俸に近い額でプレーすることがほとんど。「制度は制度。今年の年俸にどうのこうのというのは特にないです」と話した。
▽3月16日
2020年から新たに選手登録に加わる「Two-Way Player(二刀流)」の新制度について言及。「僕に関してはプラスでしかないかなと思います。チームとしては1つ枠が空くのでいいんじゃないかな」と歓迎した。
▽3月18日
ティー打撃10球、ソフトトスを10球を行った後、術後初めてオーバーハンドで軽く投げたボールを打ち返す練習を10スイング行った。また、キャッチボールも行い、最長50フィート(約15.24メートル)まで伸ばした。
▽3月21日
現役引退を表明したマリナーズ・イチロー氏について、「目標になるような存在です。それはこれからも変わらない。昔から見てきた選手として目標にしてやりたい」と語った。
地道なリハビリで推定140メートル弾も、同郷の163キロ右腕・佐々木朗希からも刺激「すごいな」
▽4月4日
本拠地開幕戦前に、ティー打撃5球、ソフトトス10球、オーバーハンド10球をこなし、屋外で25スイングを消化した。「次のステップに向けた準備はできている。復帰できるレベルではありますけど、どの程度打てるかは分からない。フィジカルも技術も不安なくできている。自分としては今のところは納得できてる」と手応えを見せた。
▽4月10日
大船渡高の佐々木朗希投手が163キロをマークしたことについて、「ヤフーニュースでしか見てないですけど、すごいなと思います。岩手県の高校なので、公立高校ですけど、甲子園で是非見てみたいなというか、母校(花巻東)も応援したいですけど(笑)」と笑顔で話した。
▽4月12日
チームの遠征には帯同せず、本拠地でマシン打撃を開始したと地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」が伝えた。実際の投手を必要とせずに試合と同じ速度をシミュレートできるものだという。同紙は「エンゼルスの大谷翔平にマシン打撃の許可、未だ復帰は5月に照準」と伝えた。
▽4月16日
エプラーGMがマイナーでのリハビリゲームに出場せずにメジャー復帰させる方針を示した。MLB公式サイトが伝えた。
▽4月19日
術後初めて全体のフリー打撃に参加。33スイングで柵越えが9発と順調な回復ぶりを見せた。「楽しみの方がどちらかと言えば、大きい。実戦も間近なので、バットが振れなかった時期に比べると楽しみ」。
▽4月20日
連日のフリー打撃。32スイングで9本の柵越え。走塁練習は右肘にサポーターをつけて行った。オースマス監督は「とても重要な右肘だから守っているんだ」と話した。
▽4月22日
フリー打撃で39スイング。約450フィート(約137.2メートル)の特大弾を含む15本の柵越えを放った。オースマス監督は「打者としては85%くらいのところにいる」と明かした。また、最長95フィート(約29メートル)の距離でキャッチボール。
▽4月24日
実戦形式の打撃練習(ライブBP)をスタートさせた。右腕を相手に4打席に立ち、2打数1安打2四球。オースマス監督は「恐らく二塁打になっていたであろう右中間への打球が一つあった。おそらく最終段階だ。これが終われば、恐らく準備は整う」と話した。
▽4月25日
2日連続して実戦形式の打撃練習。マイナーの左腕を相手に5打席に立ち2安打1四球の内容だった。「感じ的にはすごくよかった。見極めもしっかりできていた。僕とスタッフの方々がいけるという自信さえあれば、いつ復帰してもいいんじゃないかなと思う」と自信も口にした。
▽4月30日
オースマス監督が大谷の復帰について「現時点ではメキシコに帯同させる計画はない」と語り、5月4日からのアストロズ2連戦に帯同させない方針を明かした。最短での復帰は5月7日の敵地タイガース戦に。
素振り→ティー打撃→トス打撃→フリー打撃→ライブBP、地道なリハビリだった
▽5月1日
実戦形式の打撃練習を行い、6打席に立ち、四球が4つ。残り2打席は遊撃への当たりだった。「予定通りに来てる。自分の間隔がしっかり取れていれば打席数は問題ではない。勝ちたいですし、優勝したいです。その一点」と意気込んだ。オースマス監督は復帰後は先発投手の左右に関係なく起用する方針を示した。
▽5月2日
オースマス監督が「彼はレギュラーとして出場する」とDHのレギュラーとして期待した。実戦形式の打撃練習では6打席に立ち、左前打、左翼線二塁打の2安打。これで38打席となった。
▽5月4日
実戦形式の打撃練習の打席数が「50」に到達した。地元紙「オレンジ・カウンティ・レジスター」のジェフ・フレッチャー記者が自身のツイッターで伝えた。
▽5月6日
球団は7日の敵地・タイガース戦からチーム本隊に合流すると発表した。
▽5月7日
午後(同8日)に大谷の状態を確認。その後にアクティブ・ロースター枠へ加えた。タイガース戦で「3番・指名打者」で先発フル出場。4打数無安打1打点、1四球2三振だった。(Full-Count編集部)