「核なき世界遠のく」 核合意一部停止 長崎の被爆者懸念

 イランのロウハニ大統領が、核合意に基づく一部の義務の履行を停止すると発表した8日、長崎の被爆者は「核のない世界が遠ざかっていく」と懸念、専門家は「核合意は大きな岐路に立っている」と指摘した。

 核合意の一部停止は、トランプ米政権の核合意からの離脱と制裁再開への対抗措置だ。被爆者で「長崎の証言の会」の森口貢事務局長(82)は、核なき世界が後退することへの危機感を示し「2国間のけんかが世界に大きな影響を及ぼす。互いに冷静に、本気で話し合ってほしい」と訴えた。

 県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(79)は「イランは自国の安定のため合意に添って行動しようとしていたのに、トランプ大統領はあまりに厳しかった。日本を含め各国がトランプ大統領にものを言い、対処すべきだ」と話した。

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の吉田文彦センター長はイランが核合意に違反すれば、対立軸が米国から他の五つの合意国にも拡大し「イランは追い込まれる」と分析。他国がイランと米国をどう説得し、出口を見いだすかが課題とした。

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