今、コンパクトカーで“最もお得”なクルマってどれ?|コンパクトカーのオススメベスト3を一挙紹介!【2019年版】

ホンダ フィット

今、最もお得なコンパクトカーをランキング形式で紹介!

軽自動車を除いた小型/普通車の中で、最もサイズの小さなカテゴリーがコンパクトカーだ。エンジン排気量は1リッターから1.5リッターが中心で、ボディの大きさは大半が日本の道や駐車場で扱いやすい5ナンバー車の枠に収まる。

全長は3600mm~4200mmが中心で、ボディ形状は5ドアハッチバックが多い。セダンやミニバンに比べるとボディの後部を短く抑えられるから、居住空間の割に全長が短くなって運転しやすい。軽自動車と並んで、車庫入れや縦列駐車もしやすい。

価格が割安なこともコンパクトカーの特長だ。今は緊急自動ブレーキを作動できる安全装備などが装着されて、クルマの価格は全般的に高くなったが、全高が1550mm以下のコンパクトカーであれば売れ筋グレードは150~170万円だ。立体駐車場を使いやすく、エンジン排気量は1.2~1.3リッターだから燃費も良い。

一方、コンパクトカーのハイブリッドやクリーンディーゼルターボモデルは、200万円前後に価格の割安な売れ筋グレードを用意している。

1位:ホンダ フィット

ホンダ フィット

おすすめグレードは「13G・Lホンダセンシング(165万3480円)」

ホンダ フィットはコンパクトカーに限らず、日本で買えるクルマの中で最も買い得、といっても大げさではない。全長が4m弱のボディは運転がしやすく、全高は1525mm(2WD)だから立体駐車場も使いやすい。

その一方で燃料タンクを前席の下に搭載したから、荷室の床が低く積載性が優れ、後席の足元空間も広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半に達する。Lサイズセダンと同等のゆとりを確保した。混雑した街中での扱いやすさと、4名乗車時の快適性を両立させている。

フィットの発売は2013年だから、すでに5年以上が経過しており、動力性能、走行安定性、乗り心地はコンパクトカーの平均水準だ。ただし国産コンパクトカーは全般的に設計が古い。トヨタ ヴィッツは2010年、トヨタ アクアは2011年、日産 ノートは2012年に発売された。今の日本車メーカーは、海外向けの車種に力を入れているから、日本で売れ筋のコンパクトカーには設計の古い車種が並ぶ。そのためにフィットの走行性能も、あながち低いとはいえない。

JC08モード燃費は、1.3Lエンジンを搭載する13G・Lホンダセンシングが24.6km/Lだから、おおむね良好だ。安全装備はミリ波レーダーと単眼カメラをセンサーに使い、歩行者も検知して緊急自動ブレーキを作動させる。路側帯を歩く歩行者に衝突する危険が生じた時は、パワーステアリングも制御して回避操作を促す。

運転支援機能には、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、車線の中央を走れるようにパワーステアリングを制御する機能もある。これらの安全装備と運転支援機能は、発売後の改良で追加され、フィットの商品力を高めた。

なおホンダは2019年5月8日の記者会見で、次期フィットを2019年秋の東京モーターショーで初披露すると発表した。実際の発売時期はまだ明らかにされていないが、年内か年明けにも新型へ切り替わる可能性が高い。しかし現行型フィットの商品力はライバルのコンパクトカーに対し今なお秀でており、依然オススメ出来る1台である。

2位:日産 ノート

日産 新型 ノート e-POWER

おすすめグレードは「e-POWER・X(202万1760円)」

コンパクトカーのハイブリッドで最も買い得な車種は日産 ノート e-POWERだ。ホンダ フィットやトヨタ ヴィッツなど、コンパクトカーのハイブリッドは豊富だが、ノート e-POWERは低燃費以外のメリットも多い。

1.2リッターエンジンは発電機を作動させ、そこで生み出された電気を使ってモーターがホイールを駆動するから、加速が滑らかだ。アクセルペダルを踏み増した時の反応も素早い。

そしてエコ/Sモードを選ぶと、アクセルペダルを戻すと同時に、回生による発電と充電が開始される。この時には減速エネルギーを使って最大効率の発電をするため、強めの減速力が発生する。

この機能を活用すると、アクセルペダルだけで、速度を自由に調節することが可能だ。減速が比較的緩やかな市街地であれば、停車状態までカバーできるから、ブレーキペダルを踏む必要はほとんどない。ユーザーによっては足首が疲れることもあるが、高効率なハイブリッドとして新しい運転方法を示した。そのために売れ行きも好調だ。

肝心のJC08モード燃費は、e-POWER・Xが34km/Lになる。コンパクトなハイブリッド車としても、満足できる数値だ。

またノート e-POWERは全高が1520mmだから立体駐車場を使いやすく、なおかつホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2600mmと長いために後席が広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席の膝先空間は、フィットと同じく握りコブシ2つ半に達する。4名で乗車して、長距離を快適に移動できるメリットもある。

3位:スズキ ソリオ

スズキ新型ソリオ

おすすめグレードは「マイルドハイブリッドMX・セーフティサポート装着車(178万9560円)」

スズキ ソリオの全長は3710mmと短く、全幅は小型/普通車で最も狭い1625mmだ。最小回転半径は4.8mに収まり、混雑した街中での取りまわし性は抜群に優れている。

その一方で全高は1745mmと高く、車内はとても広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ3つ以上になる。また天井が高いため、前後席ともに、床と座面の間隔が十分に確保されている。着座姿勢が自然で、4名乗車時の居住性も快適だ。後席のドアはスライド式だから、乗降性も良い。

荷室は使いやすく、後席を畳めば大容量の空間になる。サイズによっては自転車も積めるから、2列シートながら、ミニバンのような使い方を可能にした。

エンジンは直列4気筒1.2リッターのみだが、ノーマルタイプ、マイルドハイブリッド、フルハイブリッドの3種類をそろえる。この内、機能や装備、燃費、価格のバランスを考えると、マイルドハイブリッドが買い得だ。JC08モード燃費も27.8km/Lと優れている。フルハイブリッドは32km/Lだが、燃料代の差額でマイルドハイブリッドとの価格差を取り戻すには、20万km以上の走行を要する。

ソリオはボディが軽く、マイルドハイブリッドMXの車両重量は950kgだ。そのために1.2リッターエンジンでもパワー不足を感じにくい。走行安定性も良好だ。背の高いコンパクトカーの中では、居住性、積載性、走行性能、燃費、価格のバランスが最も優れている。

ちなみに類似車種として、トヨタ ルーミー&タンク/ダイハツ トール/スバル ジャスティの姉妹車があるが、ソリオに比べると商品力が下まわる。車内は広く荷室の使い勝手は同程度だが、後席の座り心地は良くない。また直列3気筒1リッターエンジンは、ソリオに比べて動力性能が不足気味だ。走行安定性も見劣りする。

背の高いコンパクトカーを求めているなら、人気の高いルーミー&タンク/トール/ジャスティと、ソリオを比べて選ぶと良いだろう。

[筆者:渡辺 陽一郎]

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