選挙の「不平等」と「理不尽」

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 ひと月ほど前は春らんまんで「選挙の春」の盛りだった。統一地方選の県議選の投票日が迫った4月初め、小欄に書いた。4年に1度の選挙の時期は進学、就職シーズンでもある、と▲「18歳選挙権」を得ながらも、進学や就職で転居した18歳の投票率は下がるのではないか。そう案じられた▲県議選ならば、県外に住民票を移せば投票できない。住民票をそのままにして引っ越せば、移った先での不在者投票などができはするが、慌ただしい頃、選挙に目が向いたかどうか▲それに、転出先の自治体に3カ月住まないことには、その自治体の選挙で投票できない。こんな決まり事に、かねて転勤族をはじめ首をひねる向きがある-と書いたところ、長崎市の元教職員という女性から手紙をもらった。転勤で生じる「選挙権を行使する上での不平等には納得がいきません」▲諫早市の70代の男性からはメールが届いた。かつて県外から移住した頃に統一地方選があったが、諫早市で投票したくてもできず、「あまりにも理不尽」と感じたという▲憲法にこうある。国民の権利は「最大の尊重を必要とする」(13条)。選挙の春はまたやってくる。投票率の低下がいわれ、一人でも多く投票を、と求められている。行きたくても行けない人の権利に「尊重」の一語が要らないか。(徹)