「まずは代打で」―ロッテ、“左の代打の切り札”高濱が延長11回に値千金決勝打

ロッテ・高濱卓也【写真:荒川祐史】

高濱が代打の一振りにかける思い「今年はもうそこを目指して全部やっている」

■ロッテ 5-4 西武(9日・県営大宮)

 シーソーゲームをものにし、3連勝で5割復帰を果たしたロッテ。勝負を決めたのは今季、一振りにかける男の一打だった。

 ロッテは9日の西武戦。9回裏に失策から同点に追いつかれ延長戦へ。そして4-4で迎えた11回、途中出場の岡が西武5番手マーティンから粘って四球を選ぶと、スタメンマスクの吉田がきっちり送って1死二塁。ここで「いいところでなんとか使いたい」と井口監督は、前日1軍登録された高濱を代打で起用した。

「常にどういう場面でいくのかと、出番を想定しながら試合を見ていた」という高濱。「なんとかランナーを返そう」と打席に立った。「地方球場だし土のグラウンド。当てたら何かあると思って必死に当てに行きました」と1ボール2ストライクと追い込まれてからの外角のチェンジアップをバットの先で捉えると、打球は前進守備の左翼を越え、勝ち越し2点適時二塁打となった。「ちょっと泳いだのでどうかな」と思ったという高濱。「うまくバットのヘッドが返せたので、うまくバットに乗ってくれたかな」。必死で当てに行った結果が最高の形となり、これが決勝点に。チームに勝利を呼び込んだ。

 オープン戦終盤で結果が残せずファームスタート。「なんとか早く1軍の舞台に立ちたい」という思いを胸に、ファームでは福浦和也内野手兼2軍打撃コーチのアドバイスを元に打撃フォームを修正した。その結果、打撃が復調しての1軍昇格。そして最初の打席で見事に結果を出した。

 井口監督からは“左の代打の切り札”を期待されており、「今年はもうそこを目指して全部やっている」とその責任を担う覚悟はできている。ファームではスタメン起用が多い中でも「第1打席を大事にやっていた」と一発勝負を意識して試合に臨んでいた。

 そして、「代打でいい結果を出し続けて、スタメンでも使ってもらえるように頑張っていけたら」とスタメン出場への意欲も。ファームでは一塁、二塁、遊撃を守る。1軍登録初戦の前日8日には9回に三塁で出場と内野のユーティリティーぶりを見せているが「出られるならばどこでもという思いはあります。でもまずは、代打でいいところで打てるような選手なりたいと思います」と話す。

 この日の勝利で5割復帰を果たし、3位に浮上したロッテ。明日から首位ソフトバンクとの3連戦のため福岡に乗り込むチームに頼れるバイプレーヤーが帰ってきた。(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

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