Off time Vol.29 成功者の横顔

会社または商店など、トップで 活躍する人のオフタイムはどんな顔を 持っているのでしょう。オフタイムから 垣間見るトップの顔をご紹介します。

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■今月の人■

近江化成工業株式会社 代表取締役社長

小林 清 さん
1964年、神奈川県生まれ。アメリカの大学を卒業後、海外を舞台に仕事をしたいとオリンパス(株)に入社。海外駐在員として香港、ドイツなど世界各国に赴任した。父親が経営するウレタン加工会社・近江化成工業(株)に新素材を使った仕事が舞い込んできAたことをきっかけに家業を継ぐことを決意。東洋紡ブレスエアーⓇの加工を軸とした商品開発・ネット直販に活路を見出し、廃業寸前だった家業を建て直した。京都市在住。【滋賀県中小企業家同友会会員】
「新幹線」の一言と親父の背中で事業継承を決意。子どもの頃の趣味を現在の「強み」に活かす。
「健康で快適な生活環境づくりのお手伝い」をテーマに、通気性や洗濯性に優れた東洋紡の新素材「ブレスエアーⓇ」をはじめとする新素材を活かした寝具、シニア犬用マットを開発・販売している。

 近江化成工業は1982年創業のウレタン加工の会社で、小林さんは二代目ですが、もともと家業を継ぐ気はなかったそうです。その転機は2007年、お母さんの電話から始まりました。「新幹線の案件が来ている。継ぐことを考えてほしい」。当時小林さんは香港駐在。仕事が面白く、次はドイツへの赴任が決まっていましたが、新幹線という一言が心に響いたといいます。実は「小学生の頃は典型的な鉄ちゃん。時刻表オタクだったんです」。時刻表を片手に「今日は東京から日本海経由で青森に行こう」と計画を立て、時刻表で旅をするという空想旅行が大好きだったそうです。新幹線はいわばその旅の〝最高峰〟で、夢ももちろん新幹線の運転手でした。中学生になると国内では飽き足らず飛行機にアップグレード。航空会社に手紙を書いてタイムテーブルを送ってもらい、〝世界旅行〟を楽しんでいたそうです。このとき英語に興味を持ったことが、海外で仕事をするという夢の実現につながりました。

航空会社から送ってもらったタイムテーブルは今でも宝物。「一番感動したのは日航でした。段ボールで届いて、中にはポスターと手書きのお手紙が入っていました」。

 もう一つ、小林さんを動かしたのは実家に戻って家業について話したときの〝親父の背中〟でした。「70を過ぎても夢を持って挑戦する姿が、一人の男としてかっこいいと思ったんです」。その4ヶ月後、東海道新幹線新型車両の座席部に使用する新素材「ブレスエアーⓇ」の加工の受注が決定。事業継承を決意した小林さんはウレタン加工事業から撤退し、事業を新素材の加工と商品開発に絞ります。そしてネットショップ「爽快潔Living」を立ち上げ、自社開発の寝具やシニア犬用マットの販売をスタートしました。

 高校生の時、現在の音楽配信の先駆けともいえる仕組みを考えたこともある小林さんは、「自分の強みは人と違った角度で物事を見られること。そこからアイデアが広がるんです」と語ります。子どもの頃に楽しんだ時刻表旅行は、その訓練になっていたのかもしれません。今後の目標は海外も視野に入れた商品開発。そしてプライベートでの夢は「イタリアのトスカーナ地方で一年間暮らして、春夏秋冬を楽しんでみたいですね」。オンでもオフでも再び離陸する日を目指して、日々挑戦を続けています。


近江化成工業株式会社

東近江市宮荘町511
TEL:0748-48-4461
FAX:0748-48-4463
URL:http://www.ohmikasei.com

取材:2016年3月