無縁墓対策、動きだす 熊本地震被災の熊本市営墓地 8月から改葬対象調査

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熊本地震の影響などもあり、荒れたままになっている小峯墓地の無縁墓=熊本市中央区黒髪

 2016年の熊本地震では、熊本市の市営墓地でも墓石が倒壊したり土台が崩壊したりするなど多くの被害が出た。墓地の不足や荒廃を防ぐためには、そうした墓石の撤去や区画の再整備などが急務になっている。

 市健康福祉政策課によると、市営墓地は7カ所あり、合わせて約1万8千区画。地震で被害を受けたのは9828区画で、そのうち所有者が分かっている有縁墓約9千区画の7~8割程度は復旧が済んだとみている。

 一方、地震前の市の15年度調査で、無縁墓とみられる墓地は882区画。市は17年度ごろ無縁墓の改葬に着手する予定だったが、地震発生で先送りした。参る人もおらず、放置された無縁墓の多くは周囲に雑草が生い茂り、地震後も墓石が倒壊したままだ。

 市は環境悪化を懸念。さらに区画を有料で貸し付けている桃尾墓園(東区)は数年以内に満杯になることが見込まれている。墓地の需要は高まっていることから、無縁墓の改葬は避けられない課題という。

 小峯墓地(中央区)は地震による被害が特に大きかった。管理人の男性(72)は今も墓石が倒れたままの墓を前に「個人財産なので安易に手をつけられない」とやるせない表情だ。

 地震後は市営墓地全体の復旧のためにも無縁墓改葬の必要性は高まっているという。このため市は、8月下旬から無縁墓の状況調査を始める。荒れ具合などに応じて優先度を決め、改葬対象の20区画を選定。使用者や縁故者が存在するかを戸籍などで調べるという。

 その上で、対象区画には改葬公告の看板を設置。公告から1年経過し無縁墓と確定した区画については20年度以降に墓石の撤去や納骨堂への遺骨の移転をし、空いた墓地を再整備して新たな希望者に貸し付ける。この一連の手順を、毎年20区画ずつ進めていく方針。

 手続きは「墓地、埋葬等に関する法律」に基づく。市の試算では、墓石撤去と墓地再整備にかかる経費は1区画当たり30万円台。市は、再整備後の区画を再び貸し付けることで「財源は確保できる」と見込んでおり、「無縁墓対策のサイクルを確立し、熊本地震からの墓地の早期復旧につなげていきたい」としている。(都市圏部・松冨浩之)

(2019年5月10日付 熊本日日新聞朝刊掲載)