ロ著名記者、バイク運転中に突然死 辛口の政権批判続ける

By 太田清

2016年4月、テレビ番組「プーチンとの直接対話」で質問するドレンコ氏。ウィキメディア・コモンズより。引用元Kremlin.ru

  政権批判で知られるロシアの著名記者で、現在は人気ラジオ番組「ガバリット・モスクワ」(モスクワは話す)の編集長を務めるセルゲイ・ドレンコ氏が9日、モスクワ中心部をバイクで走行中、突然転倒し、病院に搬送されたものの死亡が確認された。59歳。ロシア通信など主要メディアが伝えた。 

 ノーバヤ・ガゼータ紙のアンナ・ポリトコフスカヤさんら多くの記者が暗殺されたロシアだけに、当初は事件の可能性が疑われたものの、病院当局者は突然の心臓発作により意識を失い転倒したとして他殺の可能性を否定。直接の死因は転倒によるけがではなく、心疾患によるものだという。英国製のバイクで幹線道路を走るドレンコ氏が突然バランスを崩し、対向車線を横切って、道路脇のコンクリート壁にぶつかる様子を写したビデオ映像も公開された。病院では1時間半にわたって蘇生の努力が行われたが帰らぬ人となった。 

 ドレンコ氏は1990年代後半から2000年にかけ、政商ベレゾフスキー氏が経営権を握っていたロシア公共テレビ(ORT)の看板キャスターとして活躍。2000年の大統領選を前にプーチン大統領のライバルとされたルシコフ・モスクワ市長、プリマコフ元首相らを批判し続けたものの、プーチン氏が大統領になると今度は、原潜クルスク沈没事故について同氏を「最大の責任者」と指摘するなど、その政府対応を痛烈に批判。直後に番組を降板させられたが、背景には政権の圧力があるとされた。 

 その後も、ラジオ局「モスクワのこだま」などにたびたび出演し政権への辛口批判を続け、2008年からラジオ局「ロシア・ニュース・サービス」、14年からガバリット・モスクワの編集長を務めた。 (共同通信=太田清)

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