マルケスのMotoGP史上最年少ポール獲得記録を破ったクアルタラロ。母国で最年少優勝更新の可能性残す

 ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)が第4戦スペインGPでMotoGPクラス初ポールポジションを獲得した。この記録は2013年のアメリカズGPでマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が記録した最高峰クラスの史上最年少ポールポジション獲得記録の20歳と63日を更新するものだった。1999年4月20日生まれのクアルタラロは、20歳と14日で最高峰クラスの史上最年少ポールポジション獲得記録を塗り替えた。

 2019年からMotoGPクラスにステップアップしたクアルタラロは、フランスのニース出身。4歳でレースキャリアをスタートさせると、8歳からスペインをレース活動の中心とし、カタルニア選手権に参戦。2008年に50ccクラス、2009年に70ccクラス、2011年に80ccクラス、2012年にはpre-Moto3クラスでチャンピオンを獲得すると、2013年、13歳でCEV(スペイン選手権)のMoto3クラスにフル参戦し、1年目でチャンピオンを獲得する。さらに続く2014年は8戦11レース中9勝を記録する圧倒的な勝利で連覇を果たした。

ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)

 世界グランプリのMoto3クラス参戦年齢は16歳以上だったが、CEVで連覇を果たしたクアルタラロのために、CEV(2014年からはCEVレプソル・インターナショナル選手権)のMoto3クラスチャンピオン経験者は15歳から参戦できる特例条項が設けられ、2015年より世界グランプリのMoto3クラスフル参戦を果たすことになる。

 マルケスに次ぐ逸材として大きな期待を背負ってグランプリライダーとなったクアルタラロは、2戦目のアメリカズGPで2位に入賞。グランプリ史上7人目(史上最年少表彰台獲得ランクでは6番目)となる15歳での初表彰台を獲得した。さらに4戦目のスペインGPでは初ポールポジションを獲得するなど、華々しいデビューを飾ったが、シーズン中盤以降はリタイアも多く、終盤の欠場も響いてランキング10位に終わった。

 2年目の2016年はレオパードレーシングに移籍。マシンをKTMにスイッチして臨んだが、2回の4位を最高位にランキング13位に止まった。当初は2年契約でレオパードレーシングからMoto3クラスに参戦する予定だったが、2016年はMoto2クラスにステップアップし、チームポンスから参戦した。

■ロッシ、クアルタラロは「とても興味深い」

 Moto2クラス1年目は7位を最高位にランキング13位。2年目の2018年はスピードアップチームに移籍すると、カタルーニャGPでグランプリ初優勝を達成。シーズン通算2回の表彰台に立ち、ランキング10位を獲得した。そして、2018年8月には、2019年から新チームのペトロナス・ヤマハSRTよりMotoGPクラスにステップアップすることが発表された。

 2019年、19歳のクアルタラロはテストからMotoGPマシンに順応し、第2戦アルゼンチンGPで8位に初入賞。第3戦アメリカズGPでは7位に入賞し、第4戦スペインGPでは初ポールポジションを獲得する。決勝でもトップ争いに加わったものの、レース中盤にマシントラブルに見舞われ、リタイアに終わった。

スペインGPでマルケスが持つ史上最年少ポールポジション獲得記録を破ったファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)

 決勝翌日に行なわれたオフィシャルテストでは、自身がスペインGPの予選Q2で記録したオールタイムラップレコード(1分36秒880)を上回る1分36秒379を記録した。次戦はホームグランプリとなるフランスGP。まだ、マルケスが持つ最高峰クラスの最年少優勝記録(20歳と63日)更新のチャンスを残している。

「決勝レースのフラストレーションが、素晴らしいテストで補われた。ル・マンが待ち切れない。マシンのライディングを楽しみ、走り続けたい」とクアルタラロ。

バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)

 バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は第1戦カタールGP開幕前の会見でクアルタラロについて次のように語っている。

「クアルタラロは若い。とても若いけど、MotoGPクラスに昇格してきた。彼のキャリアは少し不思議だった。天才と称賛されてグランプリ参戦スタートしたが、何らかの理由で少し見失っていた。今年はスピードを証明する非常に重要なチャンスがある。とても興味深いよ」

 最年少MotoGPライダー、クアルタラロが今後どのような活躍を見せるのかに注目が集まる。

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