聴覚障害者のスポーツ観戦アプリ 筑波技術大チーム開発 実況や解説、投稿し共有

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聴覚障害者ら向けにスポーツ観戦ウェブアプリを開発した若月准教授(中央)ら=つくば市天久保4丁目

■国体で実証へ

聴覚障害者らにスポーツ観戦を楽しんでもらおうと、筑波技術大(つくば市・石原保志学長)の研究者が試合の実況や解説などを文章でリアルタイムに投稿できるウェブアプリを開発した。今秋に開催される茨城国体・全国障害者スポーツ大会で実証実験する。研究者は「観客同士で知っている情報を即時に共有でき、誰でも試合観戦をより楽しめる」と話している。

聴覚障害者は試合観戦に行っても、アナウンスや実況などが聞こえず、試合の流れが把握できないことが少なくない。大会によっては、決められた席で手話や筆記による通訳を受けられる場合もあるが、好きな場所で観戦できないなど、不便さも抱えている。

このような状況を受け、同大の若月大輔准教授(43)らは、観戦専用のウェブアプリを作成した。アプリ名は「Iseee Time Line」。

文章や写真、動画などを投稿でき、投稿したものは無料通信アプリLINEのように時系列順に即時に表示される。スマートフォンでアプリのサイトにアクセスするだけで誰でも自由に投稿できる。投稿は200文字までで、特定の投稿へ返信もできるほか、後から関連する投稿を検索できるよう、「タグ」を付けることも可能だ。臨場感を高めるため、文字を画面の横から流れるように表示することもでき、さらに「文字を読み上げる機能を使えば、視覚障害者の観客にも役立つ」(若月准教授)。

投稿内容は実況や解説、ルール説明、選手の紹介などを想定。若月准教授は「観戦するスポーツについて知っている人が少しずつ情報を提供し合えば、より観戦を楽しめる。障害の有無にかかわらず、互いに支え合って観戦を楽しめる環境を作りたい」と力を込める。

実証実験には県やつくば市も協力し、同市が会場の車いすバスケットボールとスポーツ鬼ごっこの試合で行う。大会プログラムの中にアプリのサイトやアプリの説明文を記載し、周知する予定だ。

実証実験にかかる経費はインターネット上で資金を募るクラウドファンディングで既に集めた。若月准教授らは2020年の東京五輪・パラリンピックでのアプリの実用化を目指している。(松原芙美)