6500柱に献花 「平和の尊さ次世代へ」 佐世保・釜霊園で追悼式

戦没者を悼み、花を手向ける遺族ら=佐世保市、釜霊園

 第2次世界大戦後に、フィリピンの日本人収容所や引き揚げ途中で命を落とした人が眠る長崎県佐世保市江上町の釜霊園で12日、追悼式があり、全国の遺族など約400人が戦没者に思いをはせた。

 佐世保釜墓地戦歿(せんぼつ)者護持会(宮内雪夫会長)と県、市でつくる実行委が主催し、38回目。釜霊園では、1949年1月にフィリピンから佐世保市の浦頭港に着いた引き揚げ船「ぼごだ丸」で運ばれた軍人らの遺体や遺骨のほか、船内などで亡くなった引き揚げ者約6500柱を供養。護持会は遺族などを捜しており、これまでに約580柱の身元が明らかになっている。

 黙とう後、近隣の市立東明中、江上小、針尾小の児童生徒が供養塔におにぎりと水を供え、遺族らが花を手向けて悼んだ。

 宮内会長は「末永い平安に向けた努力を誓う」とあいさつ。遺族代表で祖父が戦没者の西村靖二さん(49)=福岡県八女市=は「高齢化で遺族の参加が難しくなっているが、平和の尊さを次の世代に伝えることはできる」と述べた。

© 株式会社長崎新聞社