NY紙、松ヤニなどの“滑り止め”使用を黙認するMLBに苦言「筋が通ってない」

マリナーズ・菊池雄星【写真:AP】

菊池の登板で“松ヤニ疑惑”が浮上、メジャーで“滑り止め”の使用は暗黙の了解も…

 マリナーズの菊池雄星投手が8回途中3安打1失点の好投で今季2勝目を挙げた8日(日本時間9日)の敵地ヤンキース戦で、帽子のツバの裏に“滑り止め”を付けていたのではないかと米メディアなどが指摘。“松ヤニ疑惑”として大きな話題となった。一方で、多くの選手や関係者が投手の“滑り止め”の使用は暗黙の了解になっていると証言。騒ぐことではないとの意見が多いが、ニューヨーク紙は不正行為を問題としないメジャーリーグ機構(MLB)に苦言を呈している。

 ニューヨークの日刊新聞「メトロ・ニューヨーク」は「MLBは依然として不正行為を問題としていないということを、キクチと松ヤニ疑惑が証明した」とレポート。ヤンキース戦のテレビ中継で菊池の帽子のツバの裏が映し出されたことに触れている。

 一方で、1920年に違反となるまでは、MLBではボールに唾を付けたり汗で濡らすなどの“スピットボール”が行われていたこと、その後は違反を掻い潜る手段として松ヤニなどが使われるようになったことなどに言及。2014年に当時ヤンキースに所属していたマイケル・ピネダ投手があからさまな松ヤニ使用で退場となり、出場停止処分を受けたことも振り返っている。なお、この試合で最初にピネダの首に塗られていた松ヤニに気がついたのは、当時ESPNでアナリストを務めていた現ヤンキースのアーロン・ブーン監督だったという。

 記事では、ヤンキースのルーク・ボイト内野手が「多くの選手が何かしら使っているよ」と話していたことを紹介。NPB公式球よりも滑るとされるメジャー公式球。打者も、投手が手を滑らせて頭部死球などを受ければ選手生命に関わる負傷につながる可能性があるため、ある程度ボールをコントロールしてもらうために投手の“滑り止め”の使用を“黙認”していると、米メディアなどはこれまでも伝えている。

 ただ、厳密にはルールで禁じられている行為とあって、同紙は「これは実に日常的な出来事のように、確かに感じられる」とした上で「何らかの理由により、不正投球は(今後も)十分に取り締まられることはないメジャーリーグにおける(知られると困る)きまりの悪い事実となっていくだろう。水曜日のヤンキースタジアムでの試合が、それを更に証明することになった」と苦言。そして、「リーグ(MLB)がこの事象に関してより慎重に向き合っていないことは、ほとんど筋が通っていないのである」と斬っている。

 今回の“疑惑”についてもヤンキースの選手たちは“不問”としたが、今後何らかのルール変更が加えられる可能性はあるのだろうか。(Full-Count編集部)

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