どっこい生きてる、バイクの絶滅危惧種

レースでもなお活躍

©株式会社全国新聞ネット

太田清

47NEWS編集長

太田清

47NEWS編集長

共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

太田清の記事一覧を見る
RZ250R

 カワサキZ1、Z2やスズキのGSX1100S KATANAなど生産が終了した1970~80年代の旧車バイクの人気が盛り上がりを見せているが、エンジン形式で言えば4ストローク。今も二輪車のエンジンの主流だ。

 しかし、かつては4ストロークと並びバイクの内燃機関の型式を二分していたエンジンがあった。2ストロークだが、バイクも環境対応を迫られた結果、一部小排気量車やオフロードレーサーを除いて生産中止となりなくなってしまった。正確に言うと、旧車は残っており修理やレストアしながら走り続けるライダーはいるものの、その数は減る一方。そんな“絶滅危惧種”が11、12の両日、茨城県下妻市の筑波サーキットに集結、熱い走りを見せた。 (共同通信=太田清)

 ▽最大の草レース

  毎年5月と11月の2回、同サーキットで行われる、アマチュアライダーによる日本最大の旧車草レース「テイスト・オブ・ツクバ(T.O.T)」。主催者によると、両日行われた12クラス(排気量やエンジン・フレーム形式、改造範囲によってクラス分け)のレースには現在の2日制になって最高の262台が参加。うち、計50台以上が2ストロークのバイクだった。 

 80年代にブームを迎えたレーサーレプリカと呼ばれる排気量250cc2気筒の2スト車が多数を占める中、ドーバーZERO―1クラスには排気量500cc4気筒など251cc以上の大型の2ストバイクが出場。750ccの4スト4気筒車に混じり、甲高い音をたて4本のマフラーから白煙を出しながらコースを駆け抜けた。辺りには懐かしい2ストオイルの甘い匂いが漂う。 

▽軽量ハイパワー 

 埼玉県所沢市のバイク販売修理「モトクラッチ」からは、2台のスズキRG500ガンマが参加。ガンマは85年から国内販売された500ccの2ストバイクで、レーサーと同じくスクエアフォーのエンジンレイアウトが話題を呼んだ。うち、今回が13回目のT.O.T出場という代表の石川重和さん(56)が乗った1台は見事、6位に入賞した。2ストの魅力について「車体が軽くてパワーがある。排気音もいい」と語る。64馬力のエンジンは100馬力までチューニングされ、速く走るためにフレームやブレーキなど多数の改造が施されている。 

石川さんとRG500ガンマ

 沖縄県宜野湾市から遠征してきたバイクカスタム・レストア「エスエムワークス」の真栄田義成さん(39)は、このクラスでは異色である排気量250cc2気筒のヤマハRZ250R(83年発売開始)で参戦。排気量を392ccにまで拡大、大型車に挑んだが、残念ながら転倒、リタイアしてしまった。2ストについては、やはり「軽量、ハイパワー」と、その魅力を語る。

 かつて峠で聞いた2スト2気筒の排気音を聞き、当時は筆者も憧れた赤と白の外装のバイクが走るのを見ると、30年以上前の昔に戻った気持ちだ。代表の崎原朝一郎さん(48)によると、RZ250Rで出たのは米国から取り寄せたエンジン排気量拡大キットの耐久性をチェックする意味合いもあったという。 

▽部品なければ廃車 

 4ストと比べ2ストエンジンは、パワーを出せる回転が高回転に偏り、同じ排気量でいえばパワーもあることから、一般的に耐久性に劣るとされている。そうした中、旧車は部品が欠品となっていることも多く、エンジンが壊れると「他のエンジンが見つからなければ、ボーリングしてオーバーサイズのピストンを組むしかない」(石川さん)状況だ。ホンダの人気車NSR250Rなど、メーカーが一部部品を再販売することはあるが、それは例外。大半の車両はオーナーが根気よくネットオークションで探したり、他車部品を転用したりして苦労しているのが実情だ。部品が見つからなければ最悪、廃車。好調な車体が年々、減っていく理由だ。 

 それでも、2スト車から離れられないファンは大勢いる。ピーキーなエンジン特性、パワフルなエンジン、甲高い排気音、軽い車体、白い排気煙、甘い香り、独特のスタイル・・・。そうした魅力がある限り令和の時代も2ストには残ってほしい。 

ドーバーZERO―1クラスの決勝の一コマ

 ☆ 2ストロークエンジン レシプロエンジンの型式で、吸入、圧縮、燃焼、排気を1行程ずつ計4行程で行う4ストロークと異なり、2行程で行う。エンジンオイルは燃料とともに消費され、一部燃料も排出されることから排気ガスを清浄化するのは難しく、同一排気量では燃費も悪いが、2倍爆発するため出力も強い上に、バルブやカムなど部品点数も少なくシンプルで軽いとのメリットもある。80年代にレーサーレプリカのエンジンとして大いに人気を得たが、騒音も含めた環境対応ができず各メーカーは次々と生産を中止。2015年まで生産・販売が続けられていたインドネシアなどでも中止された。