リモートワーク五島で実験 東京離れ、延べ50人滞在

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ビーチを眺めながら仕事をする参加者=五島市、さんさん富江キャンプ村

 長崎県五島市が、会社を離れた場所で仕事をする「リモートワーク」の舞台になっている。5月上旬から、IT企業などに勤める首都圏在住の20~40代を中心に、延べ約50人が短期滞在。思い思いのペースで働いている。五島市も「関係人口」の拡大に期待を寄せる。

 東京のウェブメディア「Business Insider Japan」(BI)が主催する1カ月間の実験企画。「東京から離れると、仕事や自分にどんな変化が起きるか」を参加者に検証してもらう。

 リモートワークはテレワークとも呼ばれ、在宅勤務を中心に週2、3回だけ出社したり、個人や事業者の共有オフィス「コワーキングスペース」を拠点に働いたりと多様な形がある。子育てや介護など家庭の事情にも柔軟に対応できる働き方として注目される。

 参加者はウェブデザイナーや広報などIT業界が中心。3分の2は企業に勤める人で、子ども連れで来島した人もいた。5~10日間の日程で五島市富江町の「さんさん富江キャンプ村」のバンガローに宿泊し、本社などとの会議にはテレビ電話で出席。仕事を早く切り上げて島内を散策したり、地元経営者らと交流会を開いたりしている。

 五島市は「五島と関わる関係人口が増えることで、移住や、地元企業との連携につながっていけば」と期待する。

 ■自然に身を置き考え変わる ウェブメディアBI・浜田統括編集長

 都市部を中心に、企業や個人の間で関心が高まっているリモートワーク。五島での実験を企画し、自らも5日間の体験をしたBI統括編集長の浜田敬子さんに、手応えなどを聞いた。

 -リモートワークが注目される背景は。

 (2000年以降に成人した)「ミレニアル世代」を中心に、同じ会社に生涯勤めたり満員電車で1時間かけて通勤したりすることへの違和感が広がっている。私自身も日々ニュースに追われる中、呼吸が浅くなるような感覚で、物事を深く考えられない時も。仕事と生活の場を柔軟に行き来できる形など、働き方に対する要求が多様化している。

 -島での業務に不便は。

 私は今回、会社からの相談に乗ったり原稿をチェックしたりしたが、公衆無線LAN「Wi-Fi」環境があれば大丈夫。会社にいないことで、確かにできないこともあるだろうが、東京を離れてみると普段いかに無駄な仕事が多いか分かった。本当に必要な会議は、テレビ電話でもできる。

 -五島にとってのメリットは。

 情報の発信能力が高い人が集まっていて、自治体の広報担当とは違った第三者的な目線で、自然の魅力や働きやすさなどを発信できる。既にブログや会員制交流サイト(SNS)で、体験をリアルタイムで投稿している人もいる。

 -実際に五島で仕事をして気付いたことは。

 地元の人には当たり前の環境かもしれないが、島の穏やかな気候や自然の中に身を置くことで、仕事への考え方や気持ちが大きく変わった。さまざまな業種の人が集まるので刺激も受けた。今後も、五島で企画したい。

五島の自然の中に身を置き、仕事をする効果や魅力について語る浜田統括編集長=五島市、さんさん富江キャンプ村