【気象コラム】「所により」ってどういう意味? 天気予報をもっとうまく利用しよう

 先日の連休中、朝起きてまずテレビをつけて、天気予報を見た人は多いのではないでしょうか。

 

東京・池袋サンシャイン60から見た局地的豪雨(筆者撮影)

 今日の各地の天気予報が地図上に天気マークとして表示されている。

「ああ、今日は晴れと曇マークか。雨は降らなさそうだな」そう思って外出して、夕方になって雨が降ってきただけではなく雷や突風まで。同じような経験は誰でもあると思います。こちら一見「天気予報が外れた!」と見えますが、じつは天気マークには表示されない天気予報が隠されているのです。

  今回の気象コラムは、天気予報をもっとうまく利用するための予報用語「所により」の話です。

  天気予報や注意報警報などの各種気象に関する情報は、テレビ、ラジオ、新聞などさまざまな形で提供されますが、誰でも正確に伝わるように天気予報に使う予報用語を気象庁では定めています。気象庁ホームページには「気象庁が天気予報等で用いる予報用語」というページがあり、そこに各種気象に関する情報で用いられる用語と説明が掲載されています。

  ここで注目したいのは「所により」という用語です。説明を見ると「現象が地域的に散在し、複数の地域を指定して表現することで冗長な表現になる場合に用いる。その発現域の合計面積が、対象予報区全体の50%未満である。」とあります。

  気象庁の発表する天気予報は気象特性、災害特性および地理的な特性により一つの都道府県を複数の予報区にわけて発表します。例えば石川県であれば「加賀」「能登」、青森県であれば「津軽」「下北」「三八上北」がその予報区にあたります。この予報区のうち「現象の発現域の合計面積が、対象予報区全体の50%未満」であった場合、「所により」という表現を用いて天気予報を発表します。例えば「晴れ時々曇り 所により 夕方一時雨か雷雨」とします。「夕方一時雨か雷雨」となる地域が対象予報区全体の50%未満である場合に「所により」を付けます。

  テレビの天気予報や新聞でみかける「天気マーク」は調べてみるとあるテレビ局では50前後 ある新聞社では30前後の天気マークがありますが、この「所により」という表現はこれら天気マークでは現れません。なぜなら現象の発現域が全体の50%未満と予想されているからです。

  では、この「所により」を知るためにはどうすればよいか。いくつか紹介します。

 ・気象庁ホームページ

天気予報を発表する気象庁のホームページです。トップページの「天気予報」の地図から地方を選択すると、文章で表現された天気予報を見ることができます。

例:東京都の天気予報 http://www.jma.go.jp/jp/yoho/319.html

 ・NTT東日本およびNTT西日本の177天気予報電話サービス

 天気を知りたい地方の市外局番に続けて「177」をダイヤルすることにより、天気予報を音声で聞くことができるサービスです。こちらも「所により」が表現されています。

  テレビや新聞でみかける「天気マーク」だけではわからない「所により」を知ることによって、みなさんにも新たな天気予報の世界が広がるかもしれません。

 (気象予報士・高森泰人)

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