2019年4月の全国企業倒産645件

2019年4月の倒産

倒産件数が645件 3カ月連続で減少、「人手不足」倒産は26件

 2019年4月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が645件(前年同月比0.7%減)、負債総額は1,069億1,600万円(同11.9%増)だった。
 倒産件数は、前年同月を5件下回り、3カ月連続で前年同月より減少した。4月度としては5年連続で前年を下回り、1990年以降の30年間では1990年(526件)に次いで、2番目に少ない水準にとどまった。
 負債総額は、2カ月ぶりに前年同月(954億6,700万円)を上回った。4月度では2017年(1,040億6,000万円)以来、2年ぶりに前年を上回り、2カ月ぶりに1,000億円台に乗せた。これは負債100億円以上の大型倒産が2件(前年同月ゼロ)、同10億円以上同50億円未満が13件(同10件)発生し、押し上げた。ただ、同1億円未満は470件(構成比72.8%)と全体の7割を小・零細規模が占める状況に変化はない。

企業倒産月次推移
  • 「人手不足」関連倒産26件(前年同月30件)、このうち「従業員退職」型が5件発生
  • 形態別:破産が551件で、構成比は85.4%
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが23都府県、減少20府県、同数4道県
  • 負債別:負債1億円未満の構成比が72.8%、100億円以上の大型倒産が2カ月ぶりに発生
  • 従業員数別:5人未満の構成比が74.4%、300人以上が1件で3カ月ぶりに発生
  • 業種別:米穀販売(1→3件)、電機小売(2→4件)、食料品製造(7→14件)、病院・医院(4→7件)などで増加
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が、2カ月連続で構成比100%

産業別 最多はサービス業他、5産業で前年同月を上回る

 2019年4月の産業別倒産は、10産業のうち5産業で前年同月を上回った。  最多は飲食業などを含むサービス業他が216件(前年同月比13.6%増)で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。燃料価格の高止まりや人手不足が懸念される運輸業は15件(同15.3%増)と、2カ月連続で前年同月を上回った。このほか、不動産業が21件(同50.0%増)で3カ月ぶり、農・林・漁・鉱業8件(同14.2%増)と建設業116件(同1.7%増)が2カ月ぶりに、それぞれ増加した。  一方、前年同月を下回ったのは4産業で、卸売業が76件(同31.5%減)で6カ月連続、金融・保険業が3件(同25.0%減)で5カ月連続、情報通信業が19件(同24.0%減)で2カ月連続で減少した。また、小売業88件(同1.1%減)が2カ月ぶりに前年同月を下回った。  製造業は前年同月と同数の76件だったが、食料品製造業(7→14件)で増加した。

2019年4月の産業別倒産
産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち5地区で前年同月を下回る

 2019年4月の地区別件数は、9地区のうち、5地区で前年同月を下回った。
 こうしたなか、四国は18件(前年同月比12.5%増)で、2カ月連続の増加。関東255件(同8.9%増)と北陸12件(同50.0%増)は、ともに3カ月ぶりに前年同月を上回った。
 四国は建設業(1→4件)など、10産業のうち、6産業で前年同月を上回った。関東は建設業(29→41件)、サービス業他(67→78件)など、北陸は飲食業を含むサービス業他(ゼロ→7件)で増加した。
 一方、減少は中部が77件(前年同月比9.4%減)で4カ月連続、近畿167件(同0.5%減)と中国24件(同11.1%減)はともに3カ月連続で減少。東北19件(同42.4%減)は3カ月ぶり、九州57件(同9.5%減)は4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。北海道は前年同月と同数の16件だった。

2019年4月の都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

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