被災地で活動するボランティア・NPOを後方支援~ひろしまNPOセンター

©一般社団法人助けあいジャパン

昨年7月の西日本豪雨後、多くの個人・団体がすぐさま被災地で支援活動を行った。その時の費用は、誰も予定などしていないから、もちろん「持ち出し」になる。当初はそれでよくても、活動が長引くにつれ、経済的・肉体的・心理的に負担が高まり、続けにくくなるのが現実だ。
こんな状況下、いち早く支援を届けているNPO法人「ひろしまNPOセンター」(広島県広島市)の活動が、多くの個人・団体を支えている。

ひろしまNPOセンターは、NPOや企業、行政、高校・大学、市民と連携しながら市民活動を応援・支援するNPO法人で、1997年に設立された。普段は、市民活動団体の支援や環境・国際協力・子育てなどの事業を多様なNPOと連携しながら実施しているほか、啓発イベントやセミナーの開催、相談業務など活動内容は幅広い。

20年を超える長い活動を通じ、広島県内の多くの活動団体の情報を持つ同センターは、西日本豪雨後「復旧支援に取組む団体の経済的な負担軽減」「継続した復旧・復興支援」などを期待し、いち早く被災地で活動する団体に対し、下支えのための緊急助成を行った。

具体的には、ひろしまNPOセンターの兄弟団体であるコミュニティファンド「コミュニティ未来創造基金ひろしま」を通じて、発災1カ月後の8月に、5団体に50万円の支援金を届けている。また、広島市災害ボランティア活動連絡調整会議の開催、各市町災害ボランティアセンター・避難所への支援、子育て支援等、幅広くきめ細かい支援活動を、現在も継続して行っている。

また、災害支援の全国組織である、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と連携して2019年4月末まで全24回開催している「平成30年7月豪雨災害支援ひろしまネットワーク会議」(以下、ネットワーク会議)は、復旧・復興支援のために現地に入る支援団体や関係機関と情報を共有し、連携促進、現地での活動調整、支援ニーズとのマッチングを目的とし、参加者はのべ500人を超える。参加団体は400以上にのぼり、密な情報共有会議を行うことで、円滑で効果的な支援活動へと結びつけ、被災地での混乱や調整の負担を軽減している。

発災からしばらくすると、被災に対する復旧・復興活動に加え、「被災した人のニーズ調査」「物資の提供」「コミュニティづくり」といった生活支援、支援団体へのサポートも課題となってきた。
過去の災害対応の経験からこうした状況を予測していたひろしまNPOセンターは、培ったNPO支援のノウハウを活かし、「継続して復旧・復興支援を行っている団体」「被災者の生活支援を行っている団体」「復旧・復興に取り組んでいるNPOやボランティアをサポートしている団体」を対象に支援を継続していくことに。

そこで同センター内に立ち上がったのが「復興支援チーム」だ。同センター事務局長でチームリーダーの松原裕樹さん、同センタースタッフの松村渉さんの元へ、2019年1月からNPOや地域づくり支援を専門とする岡本泰志さん、東日本大震災の被災地支援に尽力した井上恵太さんが加わった。

復興支援チームが現在手掛けているのが「平成30年7月豪雨災害ひろしま復興支援基金」。市民からの寄付に加え、Yahoo!基金で実施されたみんなのチャリティー募金「【支援金が2倍に】平成30年7月豪雨緊急災害支援募金」からの寄付、広島県生活協同組合連合会からの寄付などを基に、広島における復興支援に取組む応募団体に資金助成を行うもの。

岡本さんは「今回の災害は広島県内全体に広がる広域的なもので、現在どの地域でどういった復旧・復興支援活動が行われているのか、小さくて見えない部分も多くあります。そうした動きも含め、今回の助成の仕組みなどを通じて、復興がどのように進んでいるのかを可視化し、明らかにしたい。また、活動に取り組んでいる人とのつながりを作りたい。例えば、助成金を1つのツールに復旧・復興支援活動をしている人たちとつながることで、必要があれば助成金以外の面でも支援したい。そうした団体とのやりとりを通じて、丁寧に思いをくみ取り、それを一般のみなさんにも知ってもらえれば」とその目的を語る。

広島県出身の井上恵太さんは、20年前から中越、東日本、熊本の震災と、災害の際に被災地に入って支援のコーディネーションを行ってきた。東日本大震災の被害の大きさを目の当たりにして移住を決意し、岩手県で7年間、被災地支援を続けた。今回、故郷広島を含む西日本豪雨の被害を知り、発災直後の7月7日に岩手を出発。各地のさまざまな状況を把握しながら広島へ帰ってきた。

「今まで経験した中で感じるのは、災害支援の『よかった面』はよく報道されクローズアップされ、多くの人に知られる。しかし、『よくなかったこと、反省しないといけないこと』は報道されないものです。そこをうまく伝えていくことが、本当の意味で次の災害に備えることにつながると思います」と力を込める。

井上さんの経験は、ネットワーク会議運営にも生かされている。会議では、現場に行かないと分からない現状やニーズについて、井上さんが避難所などを回ってすくい上げ報告する。「現地情報は、県外からボランティアに来た人に伝わりにくい」ということは、東日本大震災後に多くの支援団体が現地に入ってきたときに痛感したという。それらの反省を生かし、被災地での情報共有会議が定着し、成果を上げているそうだ。
ネットワーク会議は、現在も月1回開催されている。

NPOセンターが3月から募った「平成30年7月豪雨災害ひろしま復興支援基金」は4月18日に応募が締め切られ、現在選考中。5月中旬までに支援先が決定する予定。
この支援基金の応募要項の冒頭に書かれている通り、「復興支援チーム」の強い思いがある。

広島にくらすすべての人々が災害の経験や教訓を分かち合い、誰一人取り残すことなく前に進み始めている。そして、災害を乗り越える力が蓄積され、これからの暮らしに活かされている社会を目指す。
災害によって、いま立ち上がることができない困難な状態にあるすべての人々が前に進むための希望の灯をともすことを共通の目標に掲げ、みんなで取り組むことを大切にして活動する。

岡本さんは「復興支援チームの立ち上げの際に話し合って出てきたのがこの思いであり、私たちが取り組むにあたって一番大切にしたいのが、『すべての人々の中に希望の灯をともすこと』です。人によって復旧・復興の捉え方は違うかもしれませんが、少なくとも今、ここに生きていることに絶望するのではなく、希望の灯を持ち、誰もが前に向ける状態になること。これが私たちの目指すところです」と話す。

復興支援に20年間関わってきた井上さん。
「熊本の震災から3年、東日本大震災から8年が経ち、復興はとても時間がかかることだと実感しています。一部の人は生活再建へ向かっていますが、いま私が危惧しているのが『取り残されている人がいるのではないか』ということ。どうか皆さんに再度被災地への関心を持ってもらい、困っている人がいたらぜひ教えてもらいたい。
また、悩みを1人で抱えるのは本当にきついので、地域サロンや傾聴ボランティアさんなどが間に入り、つらさなどを打ち明けられる場を作ることも重要です。抱えている悩みが消えるわけでないでしょうが、誰かに話すだけで『気にかけてくれている人がいる』と思え、心が楽になるもの。災害時だから、ではなく普段から、そんなしくみを作っていく必要性はあるのではないかと思います。これこそ、本当の『お互いの支え合い』になるのではないでしょうか」

「梅雨の時期は大丈夫なのだろうか」「今年も土砂災害があるかもしれない」との声を聞くようになった。
災害後もうすぐ1年、そしてこれからを見据え、岡本さんは「自然災害の発生は止めようがないのですが、そのあとに起きている人災をなるべく防ぎ・小さくしたい。防災を中心としたまちづくりに、今までの経験を生かしていく使命が私たちにはあるのではないでしょうか。起こる前にそなえることが肝要であり、もちろん難しいところでもあります。日本は災害が多い国。それを前提に、通常の生活の中で防災意識を高めていくこと、日常の中で災害の教訓を組み込み、いざというときに困らないまちづくりにつなげていくことが、私たちの役割だと思っています」と話す。

同センターでは、Yahoo!基金の取り組みであるYahoo!JAPANネット基金にも「【平成30年7月豪雨】広島まだまだがんばっとるけぇ!」(プロジェクトオーナー:ひろしまNPOセンター)を登録することでできる寄付を募っている。

寄付という形での支援も、私たちの「いまできること」の一つ。
「寄付は応援になる」と、心に刻みたい。

 

いまできること取材班
取材・文 門田聖子(ぶるぼん企画室)
写真 堀行丈治(ぶるぼん企画室)