ソフトバンクG、トヨタ決算 注目の〝アレコレ〟 

質問したメガバンク会長

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決算について説明するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(左)=2019年5月9日 会見するトヨタ自動車の豊田章男社長(右)=2019年5月8日

【特集】先週行われた5月8日のトヨタ自動車、9日のソフトバンクグループ(SBG)の2019年3月期決算発表。共同通信は「トヨタ、売上高30兆円超 国内企業初 中国市場の販売拡大寄与」「ソフトバンクG営業最高益 2兆円超、トヨタに迫る 巨大ファンド第2弾準備」という見出しで報じた。「『トヨタは大丈夫』と思うことが危険につながる」と語った豊田章男社長に対して、「SBGの成長エンジンはファンド」と巨大ファンドの設立準備に入ったことを強くアピールした孫正義会長兼社長、それぞれの企業カラー、立ち位置がはっきりと分かるフレーズだった。市場が最も注目する両社の決算発表で、あまり伝えられていないエピソードを取り上げる。(共同通信=柴田友明)

 ▽三井住友、東京海上トップが挙手

 トヨタ自動車の決算会見に記者に交じって、挙手したのはメインバンク三井住友銀行の宮田孝一会長だった。「今まで出ていない切り口の質問なんですが…」と語り始めた宮田会長は「中長期的な目線でトヨタ株に投資していく投資家に対して基本的な考えを伺いたい」と質問した。

三井住友銀行の宮田孝一会長

 これに対して、豊田社長は「どんなに経営環境が悪化しても着実にこつこつと、地味ですが成長し続ける会社にしたい」「トヨタが何十年も培ってきたリアルの世界で選ばれる存在になる。トヨタが成長することが世の中にとっていいことと思われることが必要」と述べた。

 トヨタは社の方針として昨年から情報発信強化のため、一部の大株主や機関投資家を決算会見に招待している。今年は三菱UFJ銀行の三毛兼承頭取、東京海上ホールディングスの永野毅社長、日本生命保険の清水博社長、三井住友海上火災保険の原典之社長も出席。昨年5月の決算会見では永野氏が経営者として企業の何を守っていくかという質問に、豊田社長が応じるやりとりがあった。

 ▽孫氏の熱弁、中国ベンチャーの登壇

 一方、SBGの孫正義会長兼社長は9日の決算会見で約1時間半、立ちっぱなしで熱弁を振るった。

 同社は傘下の巨大ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が出資する新興企業の評価益が拡大。前期比80・5%増の2兆3539億円と過去最高の営業利益を上げ、トヨタ(2兆4675億円)に迫る勢い。このことについて記者から質問されると「素晴らしいが、超えるとか超えないという次元の話ではない。トヨタさんも変貌するし、われわれもさらに成長していきたい」と答えた。

2019年3月期連結決算で営業利益の推移を説明するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=2019年5月9日

 会見ではずっと「孫正義節」がさく裂していた。冒頭、バックスクリーンに表示されたグラフについて、これは何を示しているか分かりますかと記者たちに向かって質問。自らその場を仕切った。孫氏はビジョンファンドの特徴として①AI特化②(評価額が10億ドル以上の未上場のベンチャー企業)ユニコーン投資③シナジー創出だとアピールした。

 さらに投資先のユニコーンの一つ、中古車の取引市場を扱う中国企業の創業者を登壇させた。1年間で70万台を扱ったという若き経営者は流ちょうな英語でAIを活用してビジネスに活用、中古車取引のプラットフォームとして急成長していることを孫氏が見守る中、記者たちに力を込めて語ったのだった。

 成長率が高いAI、ネット企業への先行投資を集中させていくことに「もう一回髪の毛が生えてくるぐらい興奮している」「ビジョンファンドへの情熱が私の情熱の97%」と語った孫氏。トヨタ自動車とは別のインパクトを放っていた。