「3年で元の日産に戻す」 西川氏、拡大路線との決別強調

大幅な減益要因を説明する日産自動車の西川広人社長=14日午後、横浜市西区の同社本社

 日産自動車が14日発表した2020年3月期の連結業績予想は、純利益で前期比46.7%減の1700億円。大幅な2期連続の減益で、10年ぶりに3千億円を割る水準だった。営業利益率は2%へと沈み込む。

 横浜市の本社で会見した西川広人社長は、足を引っ張っているのは「米国」だと繰り返し説明した。

 全体需要が頭打ちになり苦戦した米国市場で同社は、14年ごろから値引きによって販売台数を拡大させる戦略を打ってきた。そのツケが「日産ブランドやその価値を毀損(きそん)してきた。これは前会長(カルロス・ゴーン被告)のプッシュで過去にやってきたこと」と隠さず苦言を呈した。

 「今後はこれまでのように無理にストレッチ(拡大)させない。台数による成長路線ではなく、事業効率の適正化によって利益を確保していく」と、ゴーン路線からの決別によって、再起を図る方針を示した。

 そして、一連の事件について改めて謝罪し深々と頭を下げた西川社長は、語気を強めこう言いつないだ。

 「一方で、やるべきことは明確になっている。今が底だということ」

 2期連続の大幅減益に対し、西川社長は、「まず2年いただきたい。長くとも3年で元の日産に戻す」と強調した。

 株主利益を追求してきた同社だが、20年3月期の1株当たり配当予想は前期の57円から40円に大きく減配する。

 西川社長がひときわ念押ししたのは「技術の日産」という古くもこだわりのあるキーワードだった。

 電動化の技術や自動運転技術といった最先端技術を幅広い車種に投入するという。かつての名車である「フェアレディZ」や「GT-R」を挙げ、これに続くような車種として「クロスオーバー型のEVを市場投入する。今後の日産を引っ張っていく車にする」と胸を張った。

 「『技術の日産』というDNAは健在だということ。財務状況は健全だ。無理な値引きで買ってもらう車ではなく、求めて買いに来てもらえる車をお届けする」。多難に直面するトップは熱っぽく語った。

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