「島の宝」壱岐方言を後世に 元市職員の鳥巣さん、事例集改訂版を刊行 [長崎県]

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元壱岐市職員の鳥巣修さん(73)が、壱岐で育まれた方言(壱州(いしゅう)弁)を「島の宝」として後世に伝えようと取り組んでいる。今年3月には、かつて自費出版した方言事例集「きーちみ しゃべっちみ」(きいてみて 話してみて)の増補改訂版を刊行。「方言は地域の集まりなどで心を通わす重要な役割を担う」と考える。

「がんぎもんぎ」「ごろごっとり」-。呪文でも妖怪の名前でもない。それぞれ「無理やり」「全部」を意味する壱州弁だ。

方言の使い手であるお年寄りが亡くなり、標準語や若者言葉を使う島民が増える中、「方言を親しみやすい形で伝えていきたい」と考えた鳥巣さん。2008年に事例集を自費出版し、小中学校や図書館に寄贈した。

在庫がなくなった後も「島外に暮らす子どもや孫に方言集を届けたい」「祖父母との会話の橋渡しに一冊ほしい」などと求める声が相次ぎ、改訂版の刊行を決めた。近年は、社会福祉協議会から壱州弁を使ったレクリエーションや歌で認知症を予防する講座を任され、高齢者との会話を通じて新たに知った方言を含む約2千語を収録。「すべては網羅していないが、耳にした言葉は全部(改訂版に)載せた」と話す。

巻末には「みんなに親しまれている方言」と題した特集を掲載。「おもしろか壱州弁」のほか、島民300人へのアンケート結果を基に人気の壱州弁ベスト10の番付表も載せた。

A5判139ページ、千部作製。税込み1200円。島内の書店などで販売している。

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壱州弁の使い方

※方言事例集から抜粋。()内は標準語

「うちんじーやんなちかごらおよよしよらす」(うちのおじいさんは近頃は体が弱ってよぼよぼしている)

「あすこんばやんなおいっ子にかがりちーちょらすとちばな」(あそこのおばあさんはおいの世話になっておられるそうですよ)

「宝くじん当たっち、あーたーしあわせんよかなぁ」(宝くじが当たって、あなたは幸運ですねぇ)

「がんぎもんぎ、たのみこーだ」(無理やり頼み込んだ)

「ごろごっとり、もっちいかれた」(全部盗まれた)

「あんなんちゃーんぱんかいかまれなった」(あの人亡くなられたんですよ)

「おめだしほりだし、なるけーた」(少しずつ思い出しながら、教えた)

「いっつんかっつんななかっちばい」(いつでもはないそうですよ)

「がんぎんだんに、がんじょんがんがたまっちょい」(海に降りる石段にカニが集まっている)

=2019/05/16付 西日本新聞朝刊=