市役所JK課、非難からシンボルに

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スポーツ庁考案の運動メニューを体験する鯖江市JK課のメンバー。彼女たちの活動は笑顔が絶えない=2019年3月、福井県鯖江市役所

 若者のまちづくりへの参加を促進しようと、福井県鯖江市内に在住・通学する女子高生でつくる鯖江市役所JK課が発足して5年がたった。当初はJKという名称や、目標を定めず彼女たちの自主性に委ねるやり方に懐疑的な意見が多かったが、今では市民の間ですっかり定着し、活動の幅は全国に広がっている。仕掛け人は「若い女性がまちを面白がる文化はできた」と手応えを示す。メンバーは今後も楽しみながら“ゆるい”まちづくりに取り組んでいく。

 ■最悪のスタート

 「性的でふざけた名前」「高校生に何ができるの」-。2014年2月、市の14年度予算案発表の際にJK課プロジェクトを公表したところ、市役所には全国から非難の声が相次いだ。議論はインターネット上にも広がり、参加予定だった女子高生数人が辞退する問題に発展。学校関係者との調整も難航した。

 14年4月、趣旨に賛同して集まった2校の13人が1期生としてスタートした。女子高生らしい発想でスマートフォン向けアプリの考案や清掃イベントを実施したものの、今度は個人の容姿が批判されるなど、世間の風当たりは強まる一方だった。プロジェクトを1年目から担当する市商工政策課にぎわい推進室の高橋藤憲参事は「事業の本質を理解してもらえず悔しかった」と振り返る。

 ■地域振興の中心に

 1期生が批判にさらされながらも、ひたむきに活動を続けたことで、徐々に周囲の見る目が変わった。いつの間にかJK課は市民主役のまちのシンボルとなり、欠かせない存在に。これまでに8校の79人が参加し、18年度は東京大で授業をしたり、スポーツ庁と一緒になって女性の運動離れの改善策を考えたりと市内にとどまらない活躍だ。

 世間の評価は変わったが、プロジェクトの根本は変わらず「女子高生がまちを楽しむこと」にある。例えばJK課と市内の菓子職人によるオリジナルスイーツ作り。メンバーは自分が食べたい菓子を考案し、職人が採算性などを踏まえ商品化する。開発したスイーツは基本的にイベント限定の販売だが、中には人気が出て定番化したものもある。

 若者の素直な考えがヒット商品を生み、まちの活性化につながっていることについて、JK課の仕掛け人で慶応大大学院特任准教授の若新雄純さん(福井県若狭町出身)は「家族や地域の人が喜ぶものを考えなさい、ではなく、まず自分たちが楽しむところにJK課の意義がある」と指摘する。「市役所に遊びに行って褒められるって最高」と話すメンバーもいる。

 ■女性活躍の柱に

 鯖江市は近年、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に賛同。中でも重視している女性活躍をテーマに、牧野百男市長が昨年、国連ニューヨーク本部で演説した。JK課の取り組みも発表し、国連関係者からは「若い女性にターゲットを当てたことは素晴らしい。平等の考え方を若いうちから根付かせることが重要」と称賛されたという。

 4月から6年目に突入したJK課は、市が進める女性活躍事業の柱として期待される。ただ若新さんは、大人が定めた枠にはめられ、JK課の活動が不自由になることを懸念する。「遊びの延長のような取り組みとはいえ、彼女たちの成長や周囲の評価など、これまでに積み上がったものが確実にある。今後もメンバーの思いを尊重した活動を続けていきたい」と話す。

 4月1日時点のメンバーは4校の23人。本年度はスポーツ庁と協力するなどして市民を巻き込んだ「おしゃれでゆるい運動会」を開催する予定だ。スマホ片手にお菓子をつまみながら、という定番の会議スタイルで、また新たな挑戦を楽しんでいる。