長崎県の佐世保市を中心に県内外の廃虚の写真を撮る市民グループ「佐世保廃墟(はいきょ)倶楽部」が、廃虚の魅力をPRしようと、展示会を開いたり、会員制交流サイト(SNS)に投稿したりしている。「暗い」「怖い」というマイナスイメージが強い廃虚だが、新たな観光客の呼び込みにつなげることを目指している。
12日午前、日本遺産の構成資産の一つで、弾薬庫が残る「小首砲台跡」(俵ケ浦町)で撮影会が開かれた。「木漏れ日がスポットライトみたい」。メンバーの男女5人は興奮気味に話し、弾薬庫や廃車にカメラを向け、シャッターを切った。
農業の伊藤陽太さん(35)と、会社員の北村進吾さん(35)が2014年に結成した。戦争遺構や産業遺産などの廃虚に行き、写真をSNSに投稿。それを見て興味を持った福岡や佐賀、佐世保の男女5人がグループに加わり、廃虚巡りや、写真展を開いている。
「廃虚は歴史を感じるだけでなく、壊れたり、雑草などに侵食されたり変化する。何度も足を運び、写真に収めたくなる」と伊藤さん。中でも佐世保は、戦争遺構が「いい状態」で点在している“廃虚の宝庫”という。「廃虚は『暗くて怖い』と思う人が多いかもしれないが、『行ってみたい』と思ってもらえるように活動して、多くの人を呼び込みたい」と意気込んでいる。
※グループは8月10日から16日まで、三浦町のアルカスSASEBOで写真展を開く。問い合わせはグループのフェイスブックページで。
廃虚PRで観光誘客狙う 木漏れ日の砲台跡 撮影会も
- Published
- 2019/05/17 00:00 (JST)
- Updated
- 2019/05/18 00:08 (JST)
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