スシ・バイ・ベイ 握りに見いだす芸術性 女性板前のカウンター

「Omakase($110)」コースのメニューは仕入れによって変化する。この日は写真の大トロをはじめ、真ダイ、サヨリ、サバ、ウニなど。赤酢2種を合わせた酢飯のまろやかな口当たりが、ネタ本来のうま味を引き出す
同店は、バーカウンターやホテルの一室ですしを提供する「スシ・バイ・ボウ」の妹分。コースでは刺身の他、ウズラの卵黄とイクラの「漬け」のコクを味わう一皿料理なども出てくる

ユニオンスクエア近くの、一見普通のバー。6席程度のカウンター奥でほほ笑むのは、黒シャツにバンダナをまとった、ウーナ・テンペストさん。シックな装いの彼女、実はバーテンダーではなく、すし職人だ。

今年5月にオープンした「スシ・バイ・ベイ」は、「銀座おのでら」「Shoji at 69 Leonard St」など数々の市内の人気店で板前の経験を積んだ、ウーナさんの店。江戸前ずしを、おまかせ15品コース(90分110ドル)で提供する。アート学校出身という異色の経歴を持つウーナさんは、丁寧な包丁さばきでネタを切り、シャリと握り込んで、すしという「芸術作品」を一貫ずつ生み出す。その「制作」過程を目の前で眺める時間は、なんとも心が踊る。時にはウーナさんとの会話も楽しんで。

桜の葉が香る優しい風味のイシダイ、ほんのり甘酸っぱい梅塩を添えたスミイカ、ピンクのグラデーションが魅惑的な中トロ…。比較的小ぶりな握りの一つ一つに、おいしく見せて味に深みを出す工夫が満載。微細な味の変化を楽しむ90分は、本当にあっという間だ。

Sushi by Bae
118 E. 15th St.
(bet. Irving Pl. & Union Square E.)
sushibybae.com

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