アメリカをよく知る数字30

2016年、独立から240周年を迎えたアメリカ合衆国。わずかな年月で超大国となった一方で、諸外国からは「不思議な国」と見られることもしばしばあります。そこで今特集では、数字という観点で、「地域」「生活」「スポーツ」「歴史」「その他」の5つの多様な領域からアメリカを探ります。時に意外な発見をもたらしてくれる数字。知られざるアメリカを再発見してみましょう。
※2016年2月現在までの数値・情報に基づいています。

  • 人口 3億2,293万2,910人のうち、13.1%がアメリカ国外生まれ(2016年2月3日現在)
  • 世帯当たりの年収中央値5万3,482ドル
  • 家庭内で使用されている言語の20.9%が英語以外
  • 男女比 男性49.2%:女性50.8%
  • 人種比 白人62.1%、ヒスパニック・ラテン系17.4%、黒人13.2%、アジア系5.4%、ネイティブアメリカン1.2%、その他0.7%

アメリカをよく知る数字「地域」編

1. 1924年を最後に、カリフォルニア州旗の熊は目撃されていない

イラスト:Hulce Mayumi

「州の動物」でもあるカリフォルニア・グリズリーが、最後に目撃されたのは1924年、セコイア国立公園にて。同年、州政府は公式に同種の絶滅を認めました。なお、The Bear Flagと呼ばれるこのカリフォルニア州旗が最初に翻ったのは1846年で、それ以前の州旗はLone Starと呼ばれ、赤い星が真ん中にあるものでした。
(Valley Center History Museum「 Grizzly Bear」より)

2. 毎年、ニューヨークでは南極点の15倍の雪が降る

地球上で最も気温が低い場所の一つである南極点ですが、春から夏にかけては降水量がほとんどゼロで、冬も空気中の湿気が無いため雪があまり降りません。対して、時に厳冬になるニューヨークではかなり多くの雪が降ります。なお、1780年には海面が凍結し、マンハッタン島からスタッテン島まで歩くことができたのだとか。
(QI「Show」、CBS New Yorkより)

3. モンタナ州には人間の3倍の数の牛がいる

州内に2万8,000以上の農場や牧場があるモンタナ州は、牛の牧畜が経済の中心です。州の陸地面積は堂々の全米第4位ですが、人口密度は同47位。なお、牛肉以外では小麦の生産が盛んで、収穫された75%がアジア市場へ輸出されています。
(Montana Department of Agriculture
「Montana's Largest Industry」(2014)より)

4. ネバダ州の、87%の土地を連邦政府が所有している

内陸州としては国内最大の面積を誇るネバダ州。各種国立公園、森林、禁猟区、土地管理局が管理する荒野を含む地域は、地方自治体ではなく、環境保護を目的にアメリカ合衆国連邦政府が所有しています。
(Nevada Legislature「Nevada Facts and State Emblems」より)

5. テキサス州が国だったら、世界第6位の産油国

原油と天然ガスの生産量が、国内総生産量の約3分の1を占めるテキサス州。2011年と12年には、州内で生産量5,500万バレルの油田が発見され、確認埋蔵量は96億バレルになりました。なお、国内第2位はノースダコタ州(38億バレル)、同3位はアラスカ州(30億バレル)です。
(U.S. Energy Information Administration「Crude Oil Production」(2015)より)

6. 666というエリアコードは廃止された

キリスト教徒にとって「不吉な数字」として知られる666。1960年代から2007年末まで、ルイジアナ州リーブス(人口約800人)のエリアコードはこの3桁が採用されていましたが、住民の希望により749に変更されました。なお、同市長はこの決断をdivine intervention(神の介入)と喜んだそうです。
(CP Politics「"Very Religious" Town Ditches 666 Area Code」(2007)より)

アメリカをよく知る数字「生活」編

7. 1日平均5時間以上テレビを見る

イラスト:Hulce Mayumi

人種別に見ると、黒人は月に平均218時間(1日当たり7.26時間)、白人は同155.3時間(同5.17時間)で、アジア系とヒスパニック・ラテン系は同92.3時間(同3.07時間)。なお、65歳以上のアメリカ人は、1日平均7時間以上テレビを視聴しているという結果に。
(Neilsen「An Era of Growth March 2014」より)

8. 1日平均3,800キロカロリー摂取している

摂取量は堂々の世界一で、1970年の平均値から500キロカロリーアップ。USDAは、1日当たりの摂取量を2,700キロカロリーに抑えるよう警鐘を鳴らしています。なお、国民の62%が肥満と診断されています。
(USDA「Profiling Food Consumption in America」(2010)より)

9. 全米95%の家庭が車を所有

85%の人が車を通勤手段として利用。第二次世界大戦以前は、社会人の40%がバス、トロリー、電車を使って通勤していました。
(U.S. Department of State, Bureau of International Information Programsより)

10. 270人に1人が弁護士

2011年現在、アメリカ国内には122万5,452人の弁護士がいます。1980年は女性弁護士がわずか8%でしたが、2000年には27%にまで増加。人種別では、白人の弁護士が88.1%を占めています。
(ABA Market Research Department「Lawyer Demographics」(2011)より)

11. クレジットカードの平均負債額は5,232ドル

2008年第三四半期のクレジットカードの平均負債は、1人当たり6,225ドルでしたが、15年同期は5,232ドルに。リーマンショック以降最少額になりました。
(CreditCards.com「Measuring average credit card debt」(2015)より)

12. 医療費対GDP比率は16.4%で世界一

アメリカは先進医療で世界をリードしていますが、医療費はGDPの16.4%を占めるほど高額で、平均的な国民のニーズには応えていないことが分かります。なお、日本は10.2%で、34カ国中8位。日本の平均寿命は世界一であり、効率的な医療が行われているとみなされています。
(OECD「Health Statistics 2015」より)

アメリカをよく知る数字「スポーツ」編

13. MLB選手の平均年俸はプロ野球選手の13倍

イラスト:Hulce Mayumi

MLB全選手の平均年俸は425万ドル(2015年)。日本のプロ野球選手は3,678万円(2014年)で、1ドル120円で計算した場合、約13倍という数字に。「世界最強の労働組合」と言われる、MLB選手会の力が如実に表れているのかもしません。
(USA TODAY「FTW!MLB」、
日本プロ野球選手会
「2014年の年俸調査結果」より)

14. 学生チアリーダーの成績83%が平均B以上

成績優秀なチアリーダーたち。全体の97%が女性ですが、大学生になると50%が男性という意外な(?)事実も。ちなみにチアリーディングの歴史は古く、1898年に誕生しました。
(Active Marketing Group「The Cheerleading Market」より)

15. サッカー競技人口は世界第2位の2,244万人

米国サッカー協会に登録している選手数も、ドイツサッカー協会に次いで世界第2位の418万7千人(2007年)。サッカー王国ブラジルは第3位です。アメリカでは「サッカーは女子のスポーツ」という印象を持たれがちですが、男子の選手数も世界第2位です。
(FIFA「FIFA magazine BIG COUNT」より)

16. オリンピック夏季大会のメダル獲得数は2,411個

1896年の第1回アテネ大会から2012年のロンドン大会まで、これまで世界一多い2,411個のメダルを獲得。ちなみに金メダルは980個で、こちらもナンバーワン。2位はソビエト連邦です。
(Team USA「U.S. Olympic Medals」(2016)より)

17. スーパーボウルのCM放映権料は500万ドル

2016年のスーパーボウルのCM放映権料(30秒)は500万ドルと、昨年比11%増になる見込み。金額は05年からの10年間で75%増になりました。なお、スーパーボウルは「アメリカ人が1年で最もテレビにくぎ付けになる時」で、15年は1億1,400万人がテレビ観戦しました。
(Fortune「This is how much a 2016 Super Bowl ad costs」(2016)よりイラスト:Hulce Mayumi)

18. 1日当たりの歩数は5,117歩

車社会のアメリカでは、やはり歩く機会は少ないよう。ちなみに、西オーストラリアの居住者は9,700歩、日本人は7,168歩歩いています。人間は1日1万歩(約5マイル)歩くのが理想だそうです。
(BUSINESS INSIDER (2015)より)

アメリカをよく知る数字「歴史」編

19. 1776年、独立時の総人口は250万人

イラスト:Hulce Mayumi

独立当時、13州に住んでいたのはわずか約250万人。水力や木材を利用した工業も発達していましたが、経済の要は農業(プランテーション)でした。
(United STates Census Bureau 「Profile America Facts for Features」(2010)より)

20. 米国内在住の約3,500万人がピルグリムの末裔

1620年、メイフラワー号から降りたのは102人でしたが、最初の冬を乗り越えたのはわずか29人だったという記録が残っています。そして現在、その子孫は全米に3,500万人いると言われています。つまり、全人口の約10%がピルグリムの末裔に当たるということになります。
(The Baltimore Sun「For Mayfl ower descendants,
Thanksgiving is a family affair」(2015)より)

21. 2050年、国民4人に1人がヒスパニックラテン系に

2050年、ヒスパニック・ラテン系の人口は現在の約2倍となる1億600万人になると推測されています。ヒスパニック・ラテン系は、ここ数十年間で最も人口が増えた人種で、その多くがメキシコからやってきています。
(PewResearchCenter(2014)より)

アメリカをよく知る数字「その他」編

22. 1つの仕事に対する平均就業年数は4.4年

アメリカ人の男性は人生で平均11.4回、女性は同10.7回転職するそうです。サラリーマン人生が45年だとすると、平均就業年数は約4.4年になります。
(FastCompany「THE FOUR-YEAR CAREER」(2012)より)

23. H1-Bビザ就業者:47%がインド、中国、韓国から

2013年、H1-Bビザは47万4,355人に発給されました。そのうち、インド人が18万8,776人受給しており、多くがシリコンバレーで働いている模様です。なお、日本人受給者は7,651人でした。
(Office of Immigration Statistics
「2013 Yearbook of Immigration Statistics」より)

24. 3人に1人が銃を保有している

銃所有者のほとんどが55歳以上の白人男性で、所有率が最も高い州はアラスカ州の61.7%。カリフォルニア州は20.1%です。
(City Lab「Nearly a Third of Americans Own at Least One Gun」(2015)より)

25.アメリカの音楽シェアは世界の31%

イラスト:Hulce Mayumi

2012年の世界全体の音楽界の総売り上げは474億ドルで、アメリカは150億ドル。アメリカ音楽の人気は不動のよう。しかし、違法なダウンロードや音楽シェアにより、業界全体の売り上げは右肩下がりです。
(Statista「Statistics and facts about Music Industry in the U.S.」(2012)より)

26. 未婚女性から生まれた赤ちゃんの割合約40.6%

2013年、アメリカ国内で未婚女性から生まれた赤ちゃんは159万5,873人。トップはスウェーデン人で、未婚出産率は54.7%。日本人は2.1%でした。
(National Vital Statistics Reports 「Births: Final Data for 2013」より)

27. ニューヨーク証券取引所:時価総額は東京証券取引所の約4倍

ニューヨーク証券取引所(NYSE)は14兆2420億円、東京証券取引所は3兆3250億円。対世界比では、アメリカ(NYSEとNASDAQ)だけで40.61%を占めています。
(World Stock Exchanges(2011)より)

28. 国際宇宙ステーションに行った、アメリカ人宇宙飛行士は144人

ロシア人宇宙飛行士は48人なので、ちょうど3倍の数のアメリカ人が国際宇宙ステーションへ行っていることになります。アメリカは、今年2016年に早くも1人が宇宙へ行っています。
(NASA「About the Space Station: Facts and Figures」(2016)より)

29. DNA組み換え:大豆94%、トウモロコシ89%、綿89%

DNA組み換え食品の表示義務が無いアメリカ。国内で栽培されたこれらは、主に家畜の飼料や加工食品に添加されているようです。
(USDA「Adoption of genetically engineered crops in the United States, 1996-2015」より)

30. 世界のIT市場:アメリカのシェアは26.9%

ソフトウェアの開発や情報サービスなど、世界のIT産業のシェア率はアメリカが第1位。欧州は25.4%、中国は11.8%、日本は8.8%でした。
(IT JOBGATE「世界のIT産業」(2013)より)

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2016年2月16日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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