ホーム戦観客数、右肩上がり 財政に貢献、攻めの補強も【歓喜と試練 2018~19熊本ヴォルターズ(下)】

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昨年12月30日の島根戦ではチーム史上2番目となる4545人のファンが詰め掛けた=県立総合体育館(池田祐介)
プレーオフ期間中、県立総合体育館の前には連日、開場を待つファンが長い行列をつくり、5試合で計1万6390人が来場した

 2018~19年の熊本ヴォルターズは、昨年9月~今年4月のBリーグ2部(B2)レギュラーシーズン全60試合で首位争いを最終盤まで演じ、西地区初優勝を飾った。その躍動ぶりと的確な集客策が奏功し、ホーム戦の平均観客数は昨季より2割増の2569人を記録。B2の18クラブ中、トップの仙台に次ぐ動員力によってチームの土台となる財政強化も進み、クラブ首脳は「健全経営を背景に積極的補強や攻めの営業が可能になってきた」と力を込める。

 熊本が初めて西地区首位に立った12月の平均観客は約4千人に達した。12月30日の島根戦は年の瀬にもかかわらず、熊本市西区の県立総合体育館が過去2番目に多い4545人で埋まった。前日29日との2日間で8700人以上が来場した。

 ホーム戦の平均観客数は16~17年が2109人、17~18年2157人、18~19年は2569人と右肩上がりを続ける。

 クラブは17~18年終盤から、来客の動向を予測してターゲットを絞り込む営業態勢を構築。インターネットでのチケット購入者に試合情報を直接届けるなど“囲い込み”を進めた。20代の社会人限定サービスとして通常の半額でビール券も付く「無礼講シート」なども相次いで発売。県バスケットボール協会と連携して試合前のコートで中高生の県大会決勝を開催したり、ビーチサッカーの体験会を催したりと新たなファン層の掘り起こしも図ってきた。

 「コートと客席が近いバスケットの魅力を生かし、多くの方に足を運んでもらうよう注力した」。内村安里共同代表は細かい工夫の積み重ねがシーズン後半での集客につながったと振り返る。

 ホームアリーナで最大5千人が入る県立総合体育館が2月、女子ハンドボール世界選手権に向けた改修工事に入ったため、ホーム30試合中8試合は菊池、玉名など収容規模が半分以下の施設で開催した。それでも菊池会場で昨季比6割増の計3759人を数えるなど各会場とも盛況で、集客力の高まりを証明した。

 B2優勝や1部(B1)昇格を上位4チームで争ったプレーオフも熊本での開催となり、準決勝と3位決定戦の計5試合で1万6390人、1試合平均で3278人を集めた。特に、勝てば昇格が決まる群馬との準決勝第3戦はチケット発売から試合まで19時間しかなかったが、3800枚近くを売り上げた。

 備品などを供給するサプライヤーを含むスポンサーは昨季の1・5倍の470社余に増加。そうした好循環を背景に、19年6月期の売上高は前期の3億402万円から4億円に迫る見通しだ。

 16年の仙台、17年は西宮と島根、そして18年は福岡と、B1昇格組が戦力不足や財務悪化のため1年でB2に降格した。「お金を払ってスポーツ観戦を楽しむ文化が熊本にも少しずつ根付いてきた。今年はB1は逃したが、あと1年、クラブもチームも体力をつける時間ができたと前向きに捉えたい」。内村共同代表は手応えを感じつつ、次なる一手を模索する。(坂本尚志)

(2019年5月17日付 熊本日日新聞朝刊掲載)