アンジュルムの和田彩花がラストとなるアルバム『輪廻転生』がすごい! 前代未聞の3枚組が発売開始

画像は『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』より

ハロー!プロジェクトの12人組グループ・アンジュルムのアルバム『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』が5月15日にリリースされました。オリジナルアルバムとしては、改名前のスマイレージ時代の『②スマイルセンセーション』以来、実に6年ぶり。6月に卒業を控えたリーダー・和田彩花にとっては、最後のアルバムとなるわけですが、これが全曲完璧で全くの隙がない、大名作なのです!

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このアルバムは、まさかのCD3枚組。Disc1は新曲中心で、いわばこれがオリジナルアルバムという扱い。そして、Disc2とDisc3には、アンジュルム改名後の過去の楽曲が収録されており、この3枚のCDでアンジュルムの全楽曲が網羅されています(舞台作品を除く)。

しかも、CD3枚組の通常盤は4000円(税別、以下同)とかなりお求めやすい価格設定! ライブ映像がまるまる1本収録されたBlue-rayディスクがついた初回生産限定盤Aも8000円、アンジュルムの全シングルのミュージックビデオが収録されたBlue-rayディスクがついた初回生産限定盤Bも7000円と、全形態が異常に安い! これを買わない手はありません!

和田彩花は、個性豊かでワチャワチャしているメンバーたちを「動物園みたい」だなんて自虐的に形容しますが、このアルバム(特にDisc1)に収録されている楽曲も、それぞれが個性的だという意味で、まさに動物園みたいです。

「赤いイヤホン」のようなクールなダンスナンバーもあるし、「フラグをぶっ壊せ!」のようなリフ一発で押し通すカラッとしたロックもある。星部ショウ作曲の「いとし いとしと Say My Heart」はジャミロクワイ風なスペーシーディスコソングだし、中島卓偉による「もう一歩」は変態性強めの赤羽橋ファンクだし、つんく作詞作曲の「帰りたくないな。」は切なさあふれるエヴァーグリーンなトロピカルハウス風だし、SHOCK EYE作の「夏将軍」はプログレのようなドラマティックな展開のアゲアゲタオル曲だし……と、まるで音楽のダイバーシティー。それは、多様なメンバーを抱えるアンジュルムそのものを象徴していると言えるでしょう。

そして、これらの楽曲に共通するのは、ちゃんと“格好いい”ということ。おちゃらけてみたり、幼い感じを出してみたりすることなく、しっかり真正面から“格好いい”に取り組んでいるのです。

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歌やダンスの上手さがそのままアイドルの魅力につながるわけではない、むしろ下手なくらいのほうが魅力的──たしかにそういう意見もありますし、それは間違いではないでしょう。楽曲にしたって、“アイドルらしい”ものが人気で、なおかつそこに“ユルさ”のようなものを求める人も多い。

しかし、アンジュルムのアルバム『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』には、そういった“あえてのユルさ”で保険をかけるなんてことは、一切ありません。メンバーだけでなく、楽曲制作陣を含めてのことですが、とにかく本気で格好いい音楽を追求して、本当にそういう音楽になっている。ユルさとかけ離れた緊張感に満ち満ちていて、全部聞くのがしんどくなるくらいです。

それこそ、ただ単に“アイドルっぽくない楽曲”にチャレンジするだけならば、これまでのアイドルがあまりやっていないようなジャンルの楽曲を作ればいいだけなので、そう難しいことではないはず。でも、そういった小手先のテクニックではなく、さまざまな音楽性の楽曲を通して、アンジュルムの魅力を格好よく伝えようという明確なビジョンがあり、それを具現化したのが『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』。それは、アイディア勝負の産物ではなく、地道な努力と、確実なテクニックをもって作り上げたプロフェッショナルな作品なのです。

リーダー・和田彩花は、「メンバーがやりたいことをやればいい」とよく話しています。言い換えるならば、「アイドルとはこうあるべき」という考え方を否定しているのです。そういう意味では、このアルバムは「アイドルとはこうあるべき」という音楽からはかなり乖離しています。つまり、和田彩花の思想が色濃く反映された作品だということなのです。

卒業後もアイドルを続けるという和田彩花は、その後の目標について「アイドルの幅を広げたい」と話しています。ところがどうでしょう。『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』を聴いてみたら、すでにアイドルの幅が広がっているではありませんか! 和田彩花が考えるアイドルの理想像は、アンジュルムという形で完成しているのです。

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そんな理想的な現在のアンジュルムは、6月18日の日本武道館公演での和田彩花卒業によって、一旦リセットされることとなります。そして、新生アンジュルムと和田彩花は、それぞれまた新しい理想に向けて進んでいくわけです。その先に、どんな2つの“アイドルの理想“が待っているのかはわかりませんが、アンジュルムと和田彩花がいる限り、アイドルは無限に進化し続けていくことは間違いないでしょう。

『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』は、和田彩花リーダー期アンジュルムの集大成として完璧な作品であり、アイドルの到達点でもあります。ただ、それも6月18日を過ぎれば、過去のものとなるのです。だからこそ今、アンジュルムが12人であるうちに、このアルバムを聴かなくてはならない。アイドルの理想形をリアルタイムで体感できるのは今だけなのです。どうぞ、現時点での“アイドルの最高峰”を是非とも確かめてみてください。(文◎大塚ナギサ)

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