憩いの湧き水ピンチ 地震影響か、益城町の潮井水源干上がる

©株式会社熊本日日新聞社

お神酒や塩を供えるなど神事を行い、潮井水源の復活を願う地元住民ら。右奥は熊本地震の爪痕が残る潮井神社の拝殿=15日、益城町杉堂
ほぼ干上がった潮井水源。住民らは「こんな姿は見たことない」と口をそろえる

 熊本地震で甚大な被害を受けた益城町杉堂にある潮井[しおい]水源の湧き水が減り続け、ほぼ干上がった状態となっている。地震後も変わらず豊かな水をたたえ、被災者を励ました場所で、地元住民らは「こんな姿は今まで見たことない。一日も早い復活を」と願っている。

 水源は鎌倉時代以前の創建と伝えられる潮井神社の境内にある。広さは直径10メートル程度。複数の岩肌から水が湧き、季節によって上下するものの、水深は20センチほど。水をくみに来た住民が集い、夏場は水遊びをする子どもたちの笑い声が響く地域の憩いの場だった。

 地震では、一帯の地表に布田川断層帯が出現。神社の拝殿や参道も立ち入り禁止になるほどの被害を受けたが、水源には大きな変化がなかった。

 ところが、今年に入った頃から水位が徐々に下がり始めたという。杉堂地区の吉本雄二区長(69)は「地震から3年もたって水がなくなるなんて思わなかった。農業用水としても大切な水だったのに」と顔を曇らせる。

 水量が増える梅雨を待てず、住民らは神社の祭神を預かる津森神宮に相談。15日は湧水復活を祈る神事を行った。約30人が出席し、お神酒と塩を供え、雨乞い太鼓を奉納した。

 地震後、布田川断層帯は国の天然記念物に指定され、潮井水源も構成要素となっている。町生涯学習課の堤英介学芸員(43)は「地震直後は水量が増えたように感じた。どうなるのか心配」と今後を注視する。

 熊本大大学院先端科学研究部の細野高啓准教授(43)=水圏環境科学=は「熊本地震から時間がたって湧き水が出なくなるケースは初めて聞いた。すぐ近くの断層が動いたことや大規模な地滑りといった局所的な条件が重なって水脈が変わり、今になって影響が出た可能性がある」と推測する。

 地元の住民の多くは今も仮設住宅で暮らす。吉本さんらは「地震から杉堂が立ち直るには、潮井水源は欠かせない」と元の姿に戻る日を待ち焦がれている。(立石真一)