賀来賢人「精神的なダメージの大きい役だった」「死命」で連続殺人犯役

テレビ朝日系で5月19日に放送するドラマスペシャル「死命~刑事のタイムリミット~」(午後9:00)で、病で余命宣告を受け自らの死と隣り合わせ状態の中、ずっと抑え込んできた殺人衝動を解き放とうと決めた榊信一役を演じた賀来賢人が撮影時の心境を語った。

同作は「天使のナイフ」「友罪」など数多くの映像化作品を生み出した作家・薬丸岳氏の小説を原作としたヒューマンサスペンス。吉田鋼太郎演じる病により余命宣告を受けた刑事・蒼井凌と、賀来賢人演じる同じく病により余命宣告を受けた連続殺人犯・榊信一との命懸けの追走劇を描いていく。淡々と連続殺人に手を染めていく“氷の殺人犯”を演じた賀来は「榊は自分の死が迫る中、常に焦燥しているんです。だから街をさまよう時は、人間の怖さといった強いベクトルよりも、人間のもろさや弱さを大事にしてましたね。殺人のシーンを1日にまとめて撮影したんですよ。その時は、ものすごくつらくて苦しい気持ちになって…。榊を演じる上で、その時の感覚は大事にしようと思いました」と演じる上での思いを明かした。

そんな苦しい撮影だったが、榊の人物像については「榊は普通の人とは感覚が違うのですごく難しい役でしたし、なかなか共感できる役ではなかったんです。だからこそ逆に彼の心理を毎シーン想像しながら、すごく丁寧に作っていけた気がします。今回に関しては“その人になりきる”というやり方ではなく、台本を読んだ時に僕自身が体感した恐怖みたいなものをすごく大事にしながら芝居に乗せるような作業でしたね」と役づくりに触れた。

また、賀来といえば「今日から俺は!!」(2018年/日本テレビ系)の影響もあり、コメディーのイメージが強いが、今回のシリアスな役について「やっぱり難しいですよ。というか、どんなキャラクターの役も全部つらいです(笑)。それくらい役を作っていくのは大変なんですよ。台本を覚えて、自分と全然違う人物に息を吹き込むわけですから…。楽な役はひとつもないです!」と心境を述べ、「実は撮影で首を絞めた後、家に帰ったら妻と子どもが楽しそうにしていて…。癒やされると同時に、あまりに環境のギャップがすごすぎて(笑)、変な気持ちになりました。そのくらい精神的なダメージの大きい役だったので大変でしたね」と明かした。

さらに、吉田との再共演では「場数にしても、経験値にしても、オーラにしても、吉田鋼太郎さんはちょっとスケールが違う役者さんというか、自分にはない引き出しをたくさん持ってらっしゃる方なんです」とリスペクトしていて、「実は今回、鋼太郎さんとはあまりご一緒するシーンがなかったんですけど、最後に直接対決するシーンでの緊張感、鋼太郎さんと対峙(たいじ)した時の圧たるや…! 芝居のアプローチを含めて、改めて本当にすごい方だなと思いましたね。とにかく圧がすごい(笑)!」と実感を込めた。

続けて「僕もその圧を受けることで、鋼太郎さんに引き出していただいた部分がたくさんあるし、すごくいい勉強になりました。でも、鋼太郎さんも普段、控室で話している時はものすごいフラットなんですよ! その切り替えもまたすごいなと思いましたね。鋼太郎さんってイタリア人みたいな、ダンディーで、いい匂いがするんですよ。これは視聴者の方には伝わらないかもしれないので、ここで言っておこうと思って(笑)」とプライベートなエピソードを披露。

最後に、本作で絶対に見てほしいシーンについて「どのシーンもドキドキハラハラするサスペンス作品であると同時に、人間ドラマとしてのスケールがすごく大きいので、見た後にすごく考えさせられる作品になっていると思います。特に、鋼太郎さんと僕が面と向かって対話するシーンは、時間的にはホントに短いけれど、自分が最も集中したシーン。“あっちがこう来たら、僕はこう返そう”という理屈が通用しなかったシーンというか…記憶が曖昧なくらい集中できたシーンでした。そのシーンが視聴者の皆さんにどう届くのかなって、楽しみです」とアピールした。

© 株式会社東京ニュース通信社