【MLB】田中将大「最もえげつない球種」スプリット復調 米メディア「重要な一歩前進」

ヤンキース・田中将大【写真:AP】

13日のレイズ戦では37%がスプリット「今シーズンではずば抜けて高い数字」

 ヤンキースの田中将大投手は今季も9試合登板で3勝3敗、防御率3.44と安定した投球を見せ、怪我人続出のチームを牽引している。12日(日本時間13日)の敵地レイズ戦では7回をわずか73球で投げきり、5安打1失点7奪三振で4試合ぶりの白星。“宝刀”スプリットのキレが戻り、首位攻防戦の重要な試合で快投した。

 米メディアも、このスプリットの“復調”に注目。米スポーツメディア「ジ・アスレチック」は「今シーズンこれまでにスプリットの投球で苦しんだタナカは、彼が駆使する最もえげつない球種の感覚を見つけている最中である」とのタイトルで特集を組んでいる。

 記事では、田中がレイズ戦で73球のうち27球スプリットを投げ、7三振のうち2つをスプリットで奪ったことに言及。スプリット27球は今季最多で、全体の投球数の37%という割合は「今シーズンではずば抜けて高い数字」だったという。ただ、この一戦の前までは“宝刀”の状態が上向かずに苦しんでいた。

「スプリットは基本的にはタナカの代名詞とも呼べる球であり、それと共に最もえげつない球でもある。しかし、彼は今シーズンその球の(良い)感覚を掴むことに苦労している。それにより、その球種が結果として相手に強打され、スライダーやシンカーにどんどん頼る原因となってしまっている」

スプリットに対する相手打者の長打率は.300前半→今季は.792まで悪化

 特集では、通常のシーズンであればスプリットで30%を超える空振り率を記録している田中が、今季は15.9%しか奪えていなかったというデータを紹介。また、スプリットに対する相手打者の長打率は.300前半が普通だったが、今年は.792まで跳ね上がっていたという。田中自身も認めていたが、スプリットが万全の状態ではなかったということは、データに出ていたのだ。

「過去何回かの登板におけるその(スプリットの)効果の薄さが原因で、彼がその球を投げる頻度がめっきり減ってしまい、時には投げないイニングも何度かあった」

 ところが、レイズ戦はスプリットが復調し、積極的に投げることでレイズ打線を抑え込んでいった。記事では、4打数無安打2三振に終わったレイズのケビン・キアマイアー外野手が「彼はえげつない。マウンドの魔法使いだ」などと話していたことも紹介。スライダーの方が「より効果的なボール」だったとしつつも、「これは彼にとって最も重要な球種を再生することにおいて、重要な一歩前進となった」と分析している。

 スプリットの状態が戻った田中は“難攻不落”。ここからチームにさらに多くの勝ち星をもたらしそうだ。(Full-Count編集部)

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