【MLB】イチロー氏の伝説「レーザー」は「全ての外野手の理想」 米メディア改めて絶賛

2001年マリナーズ時代のイチロー氏【写真:Getty Images】

2001年に生まれた伝説の送球、実況が発した「レーザービーム」が代名詞の一つに

 マリナーズの会長付き特別補佐兼インストラクターに就任したイチロー氏がメジャー1年目の2001年に見せた伝説の「レーザービーム」送球。これまで数え切れ合いほどメディアでその映像が再生され、今でも語り草となっている超美技は、メジャーリーガーにとっても憧れのプレーだという。米メディアが「全ての外野手たちが掲げる理想」とあらためて絶賛している。

 イチロー氏の伝説の「レーザービーム」が生まれたのは18年前、2001年4月11日のアスレチックス戦。同4月2日に米デビューを果たしたばかりのイチロー氏が、とてつもない送球でメジャーに衝撃を与えた。8回1死一塁の場面。ライト前へのヒットを捕球すると、三塁へ向かって腕を振った。ノーバウンドでのストライク送球。背番号51の右腕から放たれたボールは低い軌道のまま勢いを失わず、三塁手デビッド・ベルのグラブに突き刺さった。

 一塁から三塁を狙ったテレンス・ロングはアウト。解説者が呆れて笑ってしまうほどの強烈な送球に実況は「ゴロとなり、ライトへのヒットです。三塁にテレンス・ロングが向かいます。イチローの送球……美しい送球、彼がアウトにしました! なんということでしょう! イチローからレーザービームのストライクです!」と絶叫。これ以来、「レーザービーム」はイチロー氏の代名詞の一つとなった。

 米スポーツメディア「ジ・アスレチック」は、過去の強肩選手を特集する記事を掲載。球界では世代毎に強肩の選手が誕生するものだとして、現代ではアスレチックスのラモン・ラウレアーノ外野手が代表的な選手だとされている。アスレチックスのライアン・クリステンセン外野守備コーチが、ラウレアーノの送球の「正確さ」について「私が目にしてきた“ほとんど”の強肩の選手たちと一線を画す能力」だと力説しているのだ。

三塁ベンチで送球を見ると…「あの送球は、投球のようだったよ!」

「ジ・アスレチック」が注目したのは、同コーチの証言の「“ほとんど”」という部分。「そう言った理由は、ある一つのプレーが存在するためだ」として、イチロー氏の伝説の「レーザービーム」送球に言及している。

「2001年4月11日の試合は、イチロー・スズキにとってのメジャー8試合目だった。この右翼手は、日本での何年にもわたる素晴らしい活躍を通じて築きあげた評判を引っ提げて、メジャーにやってきた。しかし、アメリカのファンや選手たちがその評判を信じるためには、彼の肩の強さを目にする必要があった」

 イチロー氏は、そんな状況の中ですべての人の予想を上回るような驚愕の送球を見せ、ロングをアウトに仕留めた。「ここ18年間で野球ファンが幾度となくこのハイライトを見てきたこともあり、誰もがその記憶をもとに、あのアナウンスコールを復唱できるかもしれない」。イチロー氏の代名詞「レーザービーム」が誕生した有名な実況は、日本人ではなくとも多くの人の耳にこびりついているというのだ。

 記事では、その試合でクリステンセン外野守備コーチがベンチにいたため「哀れなテレンス・ロングがスライディングを始めた際に、その送球が唸りをあげながら(三塁側ベンチにいる自分の方に)向かって来るのを目撃したのである」と指摘。本人は「あの送球は、投球のようだったよ!」と明かしたという。「ジ・アスレチック」は「あの送球こそが、ラウレアーノや今日における全ての外野手たちが掲げる理想だ」として、イチロー氏の伝説のプレーがいかに米球界に大きな影響を与えたかを強調している。その記憶は、18年が経過した今も色あせていない。(Full-Count編集部)

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