スペインの白い巨人''レアル・マドリード''と、メッシを育てバルサと深い関係を築くアルゼンチンのニューウェルスOB。 今回はその2クラブの「戦術設計図」を見ていこう。 メルマガにて続編も乞うご期待!
プレーモデルとは?
図:レアルマドリードのプレーモデル
“プレーモデル”という言葉を聞いた事はあるだろうか?
「サッカークラブがどの場面でどうプレーするか?優先順位はどうか?」などを示す、言わばサッカーの設計図、説明書の様なものだ。
かなり大まかな例えにはなるが、「守備ではまずは出来るだけ高い位置でボールを奪いに行き、無理なら引く」「奪ったらカウンターで速く攻め、難しいならゆっくり、最低でも奪い返されない様にする」などである。
チーム毎にそれぞれのやりたいサッカーがあり、歴史や文化があるため、プレーモデルにも各クラブの色が強く出る。
海外のプロクラブなどでは、資料として可視化・言語化されているクラブもある。
資料にはしていないが、文化として脈々と受け継がれ、実質的にプレーモデルが存在していると同義のクラブもある。
近年ではJリーグでもベルギーのダブルパス社の協力のもと、各Jクラブでプレーモデル作成に取り組んできたし、継続して海外クラブの教示を受けているクラブもある。
筆者はJリーグクラブや海外プロクラブを複数渡り歩いてきた経験から、貴重な本物のプレーモデルの資料も見てきたし、実際に落とし込んで指導している現場にもいた。
その中でプレーモデルの持つ力と、爆弾の様な危うさも目にした。
ここではそんなプレーモデルの海外の資料から、出来る範囲で日本の皆様にお伝え出来ればと思う。
レアル・マドリードのプレーモデルの印象
レアル・マドリードのプレーモデルを見せて貰った事がある。
流石にその内容の多くをここには書けないが、印象だけ紹介したい。
やはり納得というか、緻密にしっかり作り込まれている。
サッカーを各場面に分け、それぞれの場面でどんなプレーをどの優先順位で行うべきか、分かり易く記されていた。
日本でもよくある、アタッキングサード等ピッチを3分割に分けてどのエリアにいるのか?も考えるが、それよりボールはどんな状態か?を優先して場面別に分けている。
「アタッキングサードにいるからドリブルを仕掛けて良い」という事も考えるが、それより「ボールにプレスは来ているか?奪われそうか?それならこれに挑戦し、難しいなら第2のプラン」という様な場面の分け方をしている。
また、カウンターも大事にしているのはイメージ通りで、シンプルなのに緻密に文章化されていた。
育成部ではボールを保持して圧倒しようという所にも取り組んでいる様だ。
第1章がプレーモデルの言語化されたもので約80ページ、第2章がプレーモデル実現のための練習メニューで約70ページ、第3章は組織図や目標などで約30ページ。
合計すると約180ページにも及んだ。
それでもまだ制作途中という事を言っていたので、もしかすると更に加筆されていたり、まだ私に見せていない秘密の部分もあるのかも知れない。
この記事ではレアルマドリードの紹介はここまでにしたい。
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アルゼンチンのプレーモデル
メッシを育てたニューウェルス
アルゼンチンで幼少期のメッシが所属したクラブも見てみよう。
このニューウェルスではプレーモデルが作成されているのは勿論、プレーモデルが子供達に浸透する様に非常に計画的かつ徹底的な育成プログラムが仕込まれている。
毎月1回身長や体重などの基本情報は勿論、筋肉量や体脂肪率・骨の成長度を計測し、来月の目標数値を決め、そのための筋トレメニューを充実した指導者陣で作成して実行する。
そしてそれを個別で行うので、同じ中学生でも成長期の時期によっては子供と大人かの様な体格差があるが、各選手は最適なトレーニングを積む事ができる。
ニューウェルスではプレーモデル実現のため、知的能力の向上も欠かさない。
毎週戦術勉強会を行い、この場面ではどうするべきだったか熱く議論されている。
自分達のサイトには選手だけのパスワードを入れる事で、好きな時に好きな場所で過去の自分達の試合映像を遡って見る事ができる。
自分達のプレーモデルにとって目標となるスター選手のお手本のプレーも載っているので、子供達もイメージしやすい工夫がある。
今回の記事ではここまで。
他にブラジルの育成事情や、日本も参加するコパ・アメリカの情報や分析もまたコラムやメルマガで書いていきます。
是非是非これからも宜しくお願いします。